we really popularised the melding of deckbuilding and Roguelikes(デッキ構築とローグライクの融合を、私たちが広めた)──Anthony Giovannetti氏
■ ゲーム概要
Slay the Spire
- 開発:Mega Crit(Anthony Giovannetti/Casey Yano、2人の共同創業スタジオ)
- ジャンル:デッキ構築ローグライク
- プレイ時間:1周30〜90分程度、周回(複数回プレイ)が前提の設計
- 特徴:Giovannetti氏が個人的に温めていたデジタルカードゲームの構想を、Yano氏が退職して合流したことで開発が始動。2017年にEarly Accessでリリース後、正式版までコミュニティのフィードバックとメトリクス(プレイデータ)を反映し続けた
- 採用エンジン:libGDX
■ 購入・プレイ環境
| 販売先 | リンク |
|---|---|
| Steam | store.steampowered.com |
| Xbox Games Store | xbox.com |
| Microsoft Store(PC) | microsoft.com |
販売価格やXbox Game Passの対象作品・対応プランは変動します。購入や加入の前に各公式ストアの最新情報を確認してください。
■ 公式PV
Slay the Spire – Official Launch Trailer
■ 開発者が注目した”データドリブンなバランス調整”という面白さ
Slay the Spireは、戦闘で手に入るカードを選び、独自のデッキを組み上げながら塔を登っていくデッキ構築型ローグライクだ。カードゲームとローグライクという既存の2ジャンルを組み合わせた設計は、後続作品が「スレスパライク」と呼ばれるほど一つのジャンルを形成するに至った。
Mega CritのAnthony Giovannetti氏はGDC 2019の講演「Slay the Spire: Metrics Driven Design and Balance」で、開発チームがバランス調整において早期から指標(メトリクス)中心のアプローチを取っていたと語っている。Early Access中もプレイヤーデータを継続的に収集し、コミュニティのフィードバックと組み合わせながらゲームバランスと手触りを磨き続けた(GDC Vaultより)。
■ その面白さを開発者視点で分解する
① カード1枚1枚に明確な役割を持たせる設計
Giovannetti氏はSeattle Indiesのインタビューで、Magic: The Gathering や Netrunner といったカードゲームに取り組んだ経験について語っている。Netrunnerのファンサイト「Stimhack」を立ち上げるほど取り組んだ経験も語っている。カード同士の組み合わせを考える設計との関係は、記事から考えられる一例だ。
② メトリクス(プレイデータ)に基づいたバランス調整
実際のプレイデータとコミュニティの反応をバランス調整に活かすという方針は、GDC講演のタイトルにも表れている。カードの採用率やクリア率といった指標を継続的に見ながら調整するプロセスは、感覚だけに頼らない設計判断の一例だ。
③ Early Accessでのコミュニティフィードバックの取り込み方
Seattle Indiesのインタビューでは、共同開発者のCasey Yano氏がリリース当初の手応えについて、Steamでの高評価とコミュニティの反応を踏まえながら開発を進めていた様子を語っている。ファンメイドの拡張mod「Downfall」は、コミュニティが制作した別作品として配信されている。後に、その内容を基にしたボードゲーム版の公式拡張も発表された。
④ アナログカードゲーム経験がデジタル設計にどう活きたか
Giovannetti氏はEdge誌のインタビューで、当初からSlay the Spireをデジタル専用ゲームとして構想しており、物理的なプロトタイプ制作は最小限に留めたと述べている。一方でYano氏は、カードやデッキ・手札・捨て札というアナログカードゲームの見た目を採用した理由について、プレイヤーにとっての”馴染みやすさ”を重視したためだと説明している。
■ 設計思想の推測(開発者視点)
- バランス調整には指標(メトリクス)とプレイヤーの反応を併用する
- アナログカードゲームの文法(デッキ・手札・捨て札)は、馴染みやすさのために意図的に採用している
- コミュニティのフィードバックを検討し、ファン作品との関係を考える。Downfallを基にした公式拡張はボードゲーム版の事例
■ 制作に応用できるポイント
① カードデータをScriptableObject/Resourceで管理する設計
Unityでデッキ構築ゲームを作る場合、カード1枚ごとの効果・コスト・レアリティをScriptableObjectとして定義し、デッキはそれらの参照リストとして管理すると、既存の効果を組み合わせたカードならデータを追加しやすい。新しい種類の効果には処理の実装が必要な場合もある。Godotであれば同様にResourceとして扱うことで再現できる。
② プレイテストデータを収集する仕組みを作る
小規模開発でも、プレイ回数・生存ターン数・使用カードの頻度といった簡易的なログをローカルファイルやスプレッドシートに書き出す仕組みを用意しておくと、感覚だけに頼らないバランス調整の材料になる。大掛かりな分析基盤は不要で、CSV出力程度でも十分機能する。
③ 小規模チームでの役割分担の参考にする
Mega Critは2人の共同創業者で開発を始めている。Giovannetti氏が設計を主導し、プログラミングにも携わるなど、共同創業者らが開発を分担した。少人数開発で役割を分けつつ複数の仕事を担う例として参考にできる。
■ まとめ:このゲームは”作り手の教材”である
Slay the Spireは、「バランス調整をメトリクスで判断する」という設計と、「アナログカードゲームの文法を意図的に採用する」という設計の両方を、Early Access期間を通じて磨き上げてきたタイトルだ。感覚だけに頼らずデータを見ながら調整するという姿勢は、STATION OPSのような数値バランスが重要なゲームを作る際にも参考になる。
■ 参考文献(一次情報)
- GDC Vault「Slay the Spire: Metrics Driven Design and Balance」
- GDC 2019:Anthony Giovannetti氏の公開スライド
- 共同創業者Casey Yano氏のインタビュー
- Game Developer(旧Gamasutra)「Road to the IGF: Mega Crit Games’ Slay the Spire」
- Seattle Indies「Seattle Indies Spotlight: Mega Crit Games」
- PressReader/Edge誌「The evolution of Spirelikes」
- Steam「Slay the Spire」
- Xbox「Slay The Spire」
Slay the Spire © Mega Crit. 本記事の開発者コメントは公開済みインタビュー記事・GDC講演を要約・引用したものであり、記載URLよりご確認いただけます。
