実践ガイド

Developer’s Eye Vol.20 Don’t Starve

While open ended games have become popular thanks to Minecraft, we haven’t however seen many that focus on surviving(自由度の高いゲームはMinecraftのおかげで人気になったが、サバイバルに焦点を当てたものはまだ少ない)──Kevin Forbes氏

■ ゲーム概要

Don’t Starve

  • 開発:Klei Entertainment(リード:Kevin Forbes)
  • ジャンル:サバイバル
  • プレイ時間:長期プレイ前提(初回の生存を目指すだけなら数時間、やり込みは無制限)
  • 特徴:2010年の社内ゲームジャムで作ったプロトタイプが原型。手取り足取りの案内を抑え、自ら発見する学習曲線が特徴
  • 採用エンジン:独自エンジン(C++)、ゲームプレイロジックの大部分はLuaで記述

■ 購入・プレイ環境

販売先リンク
Steam(Don’t Starve)store.steampowered.com
Steam(Don’t Starve Together/マルチプレイ版)store.steampowered.com
マイニンテンドーストア(Don’t Starve Together)store-jp.nintendo.com

価格・販売地域:時期やストアによって異なるため、購入前に各公式ストアで確認 言語対応の注意:無印版「Don’t Starve」は現在も日本語インターフェース非対応(Steam公式表記で確認)。一方「Don’t Starve Together」は2024年4月にKleiが公式に日本語対応へ切り替えたと報じられている(AUTOMATONより)。日本語でプレイしたい場合はTogether版を選ぶのが無難

■ 公式PV

Don’t Starve release trailer

■ 開発者が注目した”理不尽さを含めた学習曲線”という面白さ

Don’t Starveは、突如見知らぬ荒野に転送された主人公ウィルソンを操作し、素材を集めてクラフトし、生き延び続けるサバイバルゲームだ。Klei EntertainmentのKevin Forbes氏はGame-Wisdomのインタビューで、Minecraftの流行を受けて自由度の高いゲームは増えたが、”生き延びること”そのものに焦点を当てた作品はまだ少なかったと当時の狙いを語っている。企画の原型は、2010年末の社内ゲームジャムで作られた、たき火を守りながら飢えをしのぐゲームだった。本作の開発は2011年末に始まったという。

■ その面白さを開発者視点で分解する

① 手取り足取りの案内を抑える設計判断

Steamストアページの説明文にも「No instructions. No help. No hand holding.(説明なし、助けなし、手取り足取りの案内なし)」と明記されているように、Don’t Starveは手取り足取りの案内を抑えている。Forbes氏はGame-Wisdomのインタビューで、序盤・中盤・終盤という3つの学習フェーズを想定して設計していると説明している。序盤はプレイヤーが基本システムを学びながら何度も死ぬ段階、中盤は拠点を作り遠方の資源を探しに行く段階、というように、死にながら学ぶことを前提にフェーズを設計している。

② 試行錯誤から発見する難しさ

このゲームは高難易度で知られるが、Forbes氏の説明によれば、理不尽さは”何も教えないこと”自体を目的にしているのではなく、プレイヤーが試行錯誤の中で仕組みを発見していくプロセスを重視した結果だとわかる。ランダム生成される世界(Steamストアページより「At any time you can generate a new living and breathing world that hates you and wants you to die」)も、同じ理不尽さのトーンを一貫させる仕掛けの一つだ。

③ コミュニティを中心に据えた開発プロセス

Forbes氏はGDC 2014の講演「Don’t Starve: Creating Community Around an Antisocial Game」で、Don’t Starveの開発初期からコミュニティとの関係構築を重視していたと語っている。1人用のゲームであるにもかかわらず、Steamのアーリーアクセスを通じてファンコミュニティを育てながら開発を進めたプロセスは、後のDon’t Starve Together(マルチプレイ拡張)の土台にもなっている。

④ Minecraftからの影響と差別化ポイント

GamasutraのRoad to the IGFの記事では、Minecraftの影響に触れつつ、独特のアートスタイルや過酷な生存を扱うトーンを作品の特徴として紹介している。

■ 設計思想の推測(開発者視点)

  • 「説明しない」ことは目的ではなく、試行錯誤を通じた発見のプロセスを守るための手段
  • 学習フェーズ(序盤・中盤・終盤)を意識して難易度と目的地を設計する
  • 1人用ゲームであっても、コミュニティとの関係構築を開発プロセスに組み込む

■ 制作に応用できるポイント

① 「説明しない」デザインをどこまで採用するかの判断基準

案内を抑える設計は挑戦的だが、初心者向けの波無島事件やSTATION OOPSのようなゲームでは全面採用は難しい。Don’t Starveの手法を参考にするなら、”最低限の操作説明だけ行い、システムの深い部分は発見に委ねる”という部分的な採用が現実的な落としどころになる。

② 序盤/中盤/終盤で変わる目的地の設計

Godot/Unityでクラフト・サバイバル要素を実装する場合、例えば序盤は生存に必要な最低限のクラフト、中盤は拠点構築と遠方探索というように、プレイヤーの目的地を段階的に変化させる設計にすると、長期プレイでも飽きさせにくい。

③ コミュニティフィードバックを取り込む仕組み

小規模開発でも、Discordやitch.ioのコメント欄を通じてプレイヤーの反応を継続的に集め、アップデートに反映する仕組みを最初から用意しておくと、Forbes氏が実践したような開発プロセスに近づけられる。

■ まとめ:このゲームは”作り手の教材”である

Don’t Starveは、「説明しないことで発見を守る」という設計と、「序盤・中盤・終盤で目的地を変化させる」という学習フェーズ設計の両方を、ゲームジャムのプロトタイプを経て開発され、発売後も更新されたタイトルだ。理不尽さを”投げっぱなし”にせず、学習曲線として設計しているという点は、難易度設計に悩む初心者にとって参考になる。

■ 参考文献


Don’t Starve © Klei Entertainment. 本記事の開発者コメントは公開済みインタビュー記事・GDC講演を要約・引用したものであり、記載URLよりご確認いただけます。

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