遠近法の錯覚を、そのままパズルの解法にする
■ ゲーム概要
Superliminal
- 開発:Pillow Castle
- ジャンル:一人称パズルゲーム
- プレイ時間:4〜6時間
- 特徴:物を持っている間、視点から見た大きさを保ちながら奥行きに応じて実際の大きさが変わり、手放すとその大きさで配置される。遠近法の錯覚をそのまま操作可能な仕組みに変えたパズルゲーム
- 開発エンジン:Unity(Unityを用いて制作)
■ 購入先・プレイ環境(2026年7月4日時点)
| 販売先 | リンク |
|---|---|
| Steam | store.steampowered.com/app/1049410 |
| Microsoft Store(Xbox / PC) | xbox.com/ja-JP/…/superliminal |
Xbox Game Pass:対象作品・対応プラン・価格は変わるため、購入や加入の前にXbox公式ストアで最新の表示を確認してください。
■ 公式PV
「Superliminal Launch Trailer」。開発元Pillow Castleの公式YouTubeチャンネルに掲載されているトレーラーです。
■ 開発者が注目した”一点突破の面白さ”
物を落とした瞬間、見えていた通りの大きさになったらどうなるか。
開発者 Albert Shih氏はGamesRadar+のインタビューで、Superliminalの原点となったアイデアをこう振り返っている。カーネギーメロン大学在学中の2013年、より面白い物の動かし方を模索する中で生まれた発想だという。
■ その面白さを開発者視点で分解する
● ① “見た目通りのサイズになる”というシンプルな計算の裏にある難しさ
Game Developer(旧Gamasutra)のインタビューで Shih氏は、物体が2倍遠くにあれば2倍の大きさになる——という基本計算自体は単純だが、複雑な形状の物体(スポンジのような穴だらけの形状など)が背景にめり込まないようにする位置調整には、大量の試行錯誤とレイキャスト処理が必要だったと説明している。
● ② Antichamberに見るパズル設計の考え方
Shih氏は同インタビューで、自分が面白いと感じるパズルは『Antichamber』のような、”新しい視点で物事を見て、既存の枠を超えて考える”タイプのものだと語っている。既知のルールを段階的に習熟するパズルよりも、新しい見方に気づくひらめきを重視したと語っている。
● ③ レベルデザインは”面白いジョーク”から始まる
レベルデザイナーのLogan Fieth氏はDigiPenのインタビューで、パズルの多くは自分で思いついて笑ってしまうようなアイデアから始まったと述べている。プレイテスターから含み笑いや驚きの反応が得られれば、そのアイデアは良いものだと判断していたという。
● ④ 探索したくなる空間づくり
Game Developerのインタビューで Shih氏は、パズルを解くための移動区間であっても、プレイヤーが「これは何だろう」と興味を持って周囲を見渡したくなるような空間にすることを重視したと語っている。ただ目的地に向かうだけの通路にしないことで、空間自体が生きた印象を持つという。
■ 設計思想の推測(開発者視点)
検証できる発言から見えてくる Pillow Castle の設計思想は、次のように整理できる。
- 単純なルールの裏に技術的な作り込みを隠す:見た目には単純な計算でも、違和感のない挙動には大量の調整が必要
- 新しい見方に気づくひらめきを大切にする:既知のルールの習熟だけでなく、視点が変わる体験を設計する
- ジョークとしてパズルを発想する:面白いと思えるアイデアを起点に試作と検証を重ねる
■ 制作に応用できるポイント(Unityで再現する場合の構造案も)
● ① シンプルなルールを支える”泥臭い”実装を惜しまない
見た目にはシンプルなメカニクス(サイズ変化、視点操作など)ほど、実装の裏側では地道な調整(レイキャストによる位置補正など)が必要になることが多い。企画段階で「シンプルに見えるが実装が重い」仕組みを見積もっておくとスケジュールが立てやすい。
● ② パズルのアイデアを”面白いと感じるか”で選別する
技術的な実現可能性を検討する前に、まず「自分が笑ってしまうか」「驚きがあるか」でアイデアをふるいにかける発想法は、少人数開発でも実践しやすい。
● ③ 移動区間にも観察したくなる要素を仕込む
パズルとパズルの間の移動区間を単なる通路にせず、視覚的に気になる要素を配置することで、空間全体の印象が向上する。Unityでの実装では、視界の端にわずかに違和感のあるオブジェクトを配置するだけでも効果がある。
■ まとめ:このゲームは”作り手の教材”である
Superliminal は、「物は見た目通りの大きさになる」というシンプルな錯覚を、大量の技術的な試行錯誤で形にしたゲームだ。パズルのアイデアを”面白いジョーク”として発想し、そこから逆算して実装していく制作手法は、少人数チームがユニークな体験を作る上での一つのモデルになっている。
■ 参考文献
- Albert Shih Interview, “Designing the mind-bending perspective puzzles of Superliminal”, Game Developer
- Albert Shih Interview, GamesRadar+
- Logan Fieth Interview, DigiPen
- Superliminal – Wikipedia(開発経緯について)
■ 著作権表記
© Pillow Castle / Superliminal
本記事内の開発者コメントは上記一次情報を要約・翻訳したものであり、逐語引用は最小限(15語未満・出典1件につき1箇所まで)に留めています。
