Developer’s Eye Vol.15 Celeste

Developer's Eye 開発者の視点

“判定を少しだけ有利にする”設計が生む、優しい高難易度

■ ゲーム概要

Celeste

  • 開発:Maddy Thorson / Noel Berry(Maddy Makes Games)
  • ジャンル:高難易度2Dプラットフォーマー
  • プレイ時間:8〜15時間(やり込み要素含めるとさらに長時間)
  • 特徴:高難易度な操作を、”Assist Mode”という調整可能な仕組みと、判定をわずかにプレイヤー有利にする細かい調整の積み重ねで、誰もが挑戦しやすい形に仕上げたプラットフォーマー
  • 開発エンジン:Monocle(開発者Maddy Thorson氏が前作『TowerFall』のために作った自社製C#フレームワーク。XNA/MonoGame/FNAの上に構築されたScene-Entity-Component構造を持つ)

■ 購入先・プレイ環境(2026年7月4日時点)

販売先リンク
Steamstore.steampowered.com/app/504230
Microsoft Store(Xbox / PC)xbox.com/ja-JP/…/celeste

Xbox Game Pass:対象(Essential・Premium・Ultimate に含まれる) Xbox公式ストアページ(日本版)で「Xbox Game Pass Essential、Premium、Ultimate でクラウド プレイ可能なゲームが含まれています。」の表示を確認済みです。2023年8月にGame Passへ復帰して以降、継続して対象となっています。

■ 公式PV

「Celeste Launch Trailer」。

■ 開発者が注目した”一点突破の面白さ”

すべてが、わずかにプレイヤー有利になるよう調整されている。

Celesteのゲームデザインについて、開発者 Maddy Thorson氏は自身のブログ記事で、コヨーテタイム(足場を離れても一瞬ジャンプできる猶予)、角の補正、入力バッファリングなど、無数の細かい”ズル”がプレイヤー成功のために組み込まれていると説明している。この積み重ねが、Celesteの高難易度を「意地悪ではなく優しい」ものにしているという。

■ その面白さを開発者視点で分解する

● ① “Cheat Mode”から”Assist Mode”への改名

Vice(Games)の取材で Thorson氏は、当初”Cheat Mode”と呼んでいた難易度調整機能の名前が「judgmental(見下したような響き)」に感じられたため、チーム内で議論を重ねて”Assist Mode”に改めたと明かしている。この改名の後に発売された『マリオ オデッセイ』が同じく”Assist Mode”という名称を採用したことも、後から気づいたという。

● ② “判断せずに任せる”という一貫した姿勢

Thorson氏はVice取材の中で、Celesteでは「あなたを優しく後押しして、不可能だと思っていたことに挑戦させたい」としつつ、プレイヤーごとのスキルレベルの違いを受け入れ、いちご収集やB面ステージ、Assist Modeといった仕組みをすべて「自分に合った挑戦レベルを見つける」ための手段として用意したと語っている。

● ③ 難易度は”一方向にしか”調整できない設計

Thorson氏は同取材で、Celesteの収集要素(いちご)や隠しステージは、標準よりも”難しい方向”にのみ難易度を調整する仕組みになっていると説明している。Assist Modeで簡単にすることはできても、ゲームがプレイヤーに要求する基本的な挑戦のレベル自体は、意図から外れないよう設計されている。

● ④ コミュニティの声を受けてテキストを書き直す

Medium掲載の記事によれば、Assist Modeの説明文が「使うと”本当にプレイしている”とは言えないかのような」印象を与えるという指摘を受け、Thorson氏はコミュニティメンバーの提案を取り入れて実際にテキストを修正し、提案者をクレジットに加えている。フィードバックに応じて自作の言葉遣いまで見直す姿勢がうかがえる。

■ 設計思想の推測(開発者視点)

検証できる発言から見えてくる Maddy Thorson氏の設計思想は、次のように整理できる。

  • 判定を”わずかに”プレイヤー有利にする:厳密な物理挙動よりも、成功体験につながる小さな調整を積み重ねる
  • 難易度調整を”逃げ”ではなく”選択”として扱う:Assist Modeを使うことに後ろめたさを感じさせない言葉選びをする
  • 難易度は基本的に上方向にのみ広げる:核となる挑戦のレベルは変えず、やり込み要素で難易度の天井を上げる

■ 制作に応用できるポイント(Unity/独自エンジンで再現する場合の構造案も)

● ① 判定にわずかな”猶予”を仕込む

高難易度アクションを作る場合、コヨーテタイムや入力バッファリングのような、プレイヤーに気づかれない範囲での猶予を判定に仕込むと、体感難易度と実際の難易度にギャップを作れる。Unityでは、ジャンプ入力の判定フレームを数フレーム広げるだけでも効果がある。

● ② 難易度調整オプションの名称・説明文を丁寧に選ぶ

アクセシビリティオプションを実装する際、機能そのものだけでなく、それを選ぶことに後ろめたさを感じさせない言葉選びも設計の一部として扱う。

● ③ フィードバックに応じてテキストまで見直す

コミュニティからの指摘を受けて、UIテキストや説明文を柔軟に修正する体制を作っておくと、後から発見される問題にも対応しやすい。

■ まとめ:このゲームは”作り手の教材”である

Celeste は、「判定をわずかにプレイヤー有利にする」という無数の小さな調整と、難易度調整を後ろめたくないものにする言葉選びによって、高難易度でありながら”優しい”と感じさせるゲームに仕上がった作品だ。開発者自身が公開しているブログ記事や、コミュニティの声を受けてテキストを書き直した経緯からは、細部への一貫したこだわりが読み取れる。

■ 参考文献(一次情報)

■ 著作権表記

© Maddy Makes Games / Extremely OK Games / Celeste
本記事内の開発者コメントは上記一次情報を要約・翻訳したものであり、逐語引用は最小限(15語未満・出典1件につき1箇所まで)に留めています。

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