Kill. Die. Learn. Repeat.(殺せ。死ね。学べ。繰り返せ。)──Dead Cells公式キャッチコピー
■ ゲーム概要
Dead Cells
- 開発:Motion Twin(フランス・ボルドーの労働者協同組合スタジオ。リード:Sébastien “Sebff” Bénard)
- ジャンル:ローグライク・メトロイドヴァニア(通称「ローグヴァニア」)
- プレイ時間:1周1〜2時間、周回前提でクリアまで数十時間
- 特徴:もともとはモバイル向けの基本無料タワーディフェンスとして企画されていたが、開発が二転三転してローグヴァニアに変化した。Steamで1年半のEarly Accessを経て2018年に正式版として発売
- 採用エンジン:Haxe(独自フレームワーク)
■ 購入・プレイ環境
| 販売先 | リンク |
|---|---|
| Steam(Dead Cells) | store.steampowered.com |
| Xbox Games Store | xbox.com |
価格:Xbox版 ¥2,900前後(Steam版もセール時は大幅値引きされることが多い) Xbox Game Pass:対象。「Essential」「Premium」「Ultimate」の全プランに含まれている(Xbox公式ストアのライブページで確認、2026年7月時点)。Essentialまで含まれるのは他タイトルと比べても手厚い部類
■ 公式PV
Dead Cells – Kill. Die. Learn. Repeat. (Animated trailer)
■ 開発者が注目した”死んでも進める”設計という面白さ
Dead Cellsは、失敗した錬金術の実験体となったプレイヤーが、絶えず配置の変わる城を探索するアクションプラットフォーマーだ。チェックポイントは存在せず、死ねば最初から城を再構築しながらやり直すことになる。しかし、道中でアンロックした新たな通路やアビリティ、武器などの一部は次の挑戦に引き継がれる。ローグライクの「周回前提の緊張感」と、メトロイドヴァニアの「探索してアビリティを増やしていく構造」を組み合わせた設計は、Steamのストアページでも「ローグヴァニア」という独自ジャンルとして紹介されている。
■ その面白さを開発者視点で分解する
① プロシージャル生成と手作りレベルデザインの併用方法
Dead Cellsのステージは完全ランダム生成ではなく、手作りされた”部屋”のパーツをプロシージャルに組み合わせる方式を取っている。この手法により、毎回配置は変わりながらも、個々の部屋の質は作り込まれた状態を保てる。
② 元は無料モバイル向けタワーディフェンスだったという企画の変遷
Game Informerのインタビューで、リードデザイナーのSébastien Bénard氏は、開発の出発点が基本無料のモバイル向けタワーディフェンスゲームだったと明かしている。そこからメトロイドヴァニア×ローグライクという現在の形に至るまでは「かなり混沌としたプロセスだった」と振り返っている。企画の初期段階でジャンルを固定しすぎず、試行錯誤の中で形を変えていったことがうかがえる。
③ 「操作を簡単にすることが、ゲームをより硬派にする」という逆説
Bénard氏はGDC講演「Dead Cells: What the F*n!?」で、プレイヤーの操作を助ける仕組み(判定のごまかしや操作性の補助)を数多く導入したことについて語っている。一見すると難易度を下げる要素に見えるが、実際にはこうした補助によって理不尽な事故死が減り、結果としてゲーム全体をより硬派に保ちながらも「投げ出したくなる怒り(rage-quit)」を防ぐことができたと説明している。
④ Early Accessでのコミュニティフィードバックの取り込み方
Dead Cellsは1年半のEarly Access期間を経て正式版に至っている。Game Informerのインタビューで、Bénard氏はコミュニティのフィードバックが開発に大きな影響を与えたと述べている。Motion Twin自身も「zero hierarchy workers co-op(階層のない労働者協同組合)」を自称しており(公式YouTubeチャンネルの説明文より)、スタジオ内の意思決定構造がフラットであることに加え、外部のプレイヤーコミュニティの声を積極的に取り込む開発体制を敷いていたことがわかる。
■ 設計思想の推測(開発者視点)
- ジャンルは最初から固定せず、試行錯誤の中で最適な形に収束させる
- プレイヤーを助ける仕組みは「簡単にする」ためではなく「理不尽な事故を減らし、硬派さを保つ」ために入れる
- Early Accessやコミュニティとの対話を、開発プロセスの一部として正式に組み込む
■ 制作に応用できるポイント(Unity/独自エンジンで再現する場合の構造案も)
① プロシージャル生成の部屋データ管理方法
STATION OOPSのようなアクションゲームで手続き的な面構成を取り入れる場合、Godotでは部屋ごとのシーンをパーツとして用意し、入退室ポイント(ドア)の位置情報を基に接続する方式にすると、Dead Cells的な「手作りパーツのプロシージャル組み合わせ」を再現しやすい。
② 死に戻りシステムの実装ポイント
進行度を「毎回リセットされるもの」と「次の挑戦に引き継がれるもの」に分けて設計することが、死に戻り系ゲームの肝になる。SaveDataを2種類(ラン内の一時データ、恒久的なアンロック情報)に分離して管理すると実装しやすい。
③ 小規模チームでの意思決定プロセス(協同組合という体制の参考点)
Motion Twinの「階層のない協同組合」という体制は、全員に決定権があるという特殊な形だが、個人〜小規模開発でも「誰が最終決定をするか」を曖昧にせず明文化しておく、という教訓として参考にできる。
■ まとめ:このゲームは”作り手の教材”である
Dead Cellsは、「ジャンルを固定せず試行錯誤の中で形にする」という企画プロセスと、「プレイヤーを助ける仕組みでゲームをより硬派に保つ」という逆説的な設計判断の両方を体現したタイトルだ。理不尽な死を減らしながら難易度を保つという発想は、高難易度アクションを作る上で参考になる視点だ。
■ 参考文献(一次情報)
- Game Developer(旧Gamasutra)「Sebastien Benard breaks down the fine details of Dead Cells’ design」
- Game Informer「Dead Cells’ Designer Discusses Scrapped Ideas, Roguelikes, And The Potential For A Sequel」
- GDC Vault「Dead Cells: What the F*n!?」
- Steam「Dead Cells」
- Xbox「Dead Cells」
Dead Cells © Motion Twin. 本記事の開発者コメントは公開済みインタビュー記事・GDC講演を要約・引用したものであり、記載URLよりご確認いただけます。


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