実践ガイド

ゲームのターゲットプレイヤーを決めよう|誰に向けて作るかで完成度が変わる

はじめに:届けたい相手を具体的に考える

ゲームを作り始めるとき、「できるだけ多くの人に楽しんでもらいたい」と思うのは自然なことです。でも、その考え方が実は落とし穴になることがあります。

幅広い人に届けたい場合も、最初にどの人の体験を優先するか決めると設計しやすくなります。

難易度を下げすぎるとゲーマーには物足りない。難易度を上げすぎると初心者には辛い。世界観をポップにするとシリアス好きには合わない。シリアスな表現にも、伝え方によって受け取り方の違いが出る——こうした好みは人によって異なるため、誰にどんな体験を届けたいかを考えることが役立ちます。

ゲームスタジオでも、想定するプレイヤーを意識して設計する方法があります。個人開発でも役立つ考え方です。「このゲームは誰のために作るのか」を最初に決めることが、完成度の高いゲームへの近道です。


ターゲットを決めると何が変わるのか

ターゲットプレイヤーを決めると、ゲームのあらゆる設計判断がしやすくなります。具体的にどんなことが変わるか見てみましょう。

難易度設計

ゲーム初心者向けなら、操作を試しながら失敗してもやり直せる最初の場面を用意する方法があります。経験者向けでも好みはさまざまなので、実際に遊んでもらい難易度を確かめましょう。

操作設計

想定する人が使いやすい操作を考えましょう。例えばタップ操作や複数ボタンの組み合わせを候補にし、実際に遊ぶ人に試してもらいます。

UI・テキスト

初心者向けなら説明テキストを丁寧に、アイコンも分かりやすく。ゲーマー向けなら説明を省いてスッキリしたUIのほうが好まれることもあります。

世界観・グラフィック

届けたい相手の好みを考えることは、世界観を検討する手がかりになります。没入感は表現やプレイヤーによって異なります。色や雰囲気の好みは年齢だけでは決まりません。どんな表現を好む人に届けたいのか考え、実際に反応を確かめましょう。


ターゲットを決める3つの軸

ターゲットプレイヤーを決めるときは、以下の3つの軸で考えると整理しやすくなります。

軸①:年齢・ゲーム経験

ゲームへの慣れは設計を考える手がかりの一つです。以下はあくまで例で、同じ経験の人でも好みは異なります。

タイプ特徴設計のポイント
ゲーム初心者操作に不慣れ・ルールを覚えるのに時間がかかる必要な操作案内を用意し、使いやすさを試す
ライトゲーマー普段からスマホゲームを遊ぶ程度直感的な操作・短時間で遊べる
コアゲーマーゲームに多くの時間を使う場合がある難易度ややり込み要素は遊ぶ人に確かめる

軸②:プレイスタイル

同じゲーム経験があっても、プレイスタイルは人によって異なります。

  • のんびりプレイ派:焦らず楽しみたい人を想定する例です。好むジャンルや時間制限への感じ方は人によって異なります。
  • 本気プレイ派:高スコアやクリアタイムにこだわりたい。競争・やり込みが好き。
  • 探索派:隅々まで調べて隠し要素を見つけたい。世界観の作り込みを重視。

軸③:プレイ環境

どんな状況でゲームを遊ぶかも、設計に大きく影響します。

  • スマホ・短時間プレイ:通勤中・休憩中などの隙間時間。1回3〜5分で区切れる設計も候補。想定する人に遊んでもらい、適切な長さを確かめる。
  • PCで遊ぶ人:自宅で遊ぶ場合もあれば、短時間で遊ぶ場合もあります。操作の複雑さへの好みは本人に確認しましょう。
  • ブラウザゲーム:インストール不要。手軽に始められることが最重要。

ターゲット別・ゲーム設計の変わる点

3つの軸を組み合わせると、ターゲット像を考えやすくなります。以下は設計を考えるための仮の例で、年齢や経験から好みを決めつけるものではありません。実際のプレイヤーに試してもらい、仮説を確かめましょう。

ターゲット例A:ゲーム初心者の社会人(30代・スマホ)

  • 難易度:やさしめ。失敗しても何度でも挑戦できる
  • 操作:タップのみ、またはスワイプ程度
  • 1回のプレイ時間:5分以内で区切りよく終わる
  • テキスト:ルール説明はていねいに。専門用語は使わない
  • 世界観:日常的・親しみやすいテーマ

ターゲット例B:学生のライトゲーマー(10〜20代・PC)

  • 難易度:普通〜やや難しめ。クリアしたときの達成感を重視
  • 操作:キーボード+マウス。2〜4種類の操作まで
  • 1回のプレイ時間:15〜30分程度
  • テキスト:説明は簡潔に。操作はやりながら覚えさせる
  • 世界観:ポップ・ファンタジー・SF など幅広く

ターゲット例C:コアゲーマー(年齢問わず・PC)

  • 難易度:高め。死にゲー要素・タイムアタックなど歯ごたえを好む人を想定する例
  • 操作:複雑な操作も可。コンボや上級テクニックがある
  • 1回のプレイ時間:長く遊べる設計も検討し、実際に好みを確かめる
  • テキスト:説明は最小限。「見て覚える」設計でも可
  • 世界観:作り込まれた独自の世界観が好まれる

「自分自身」をターゲットにする方法

ターゲット設定で迷ったときの一つのアプローチが「自分自身をターゲットにする」ことです。

なぜ自分をターゲットにするといいのか

  • 「面白いかどうか」の判断がしやすい:自分がプレイして楽しければ、同じような人にも刺さる可能性が高い
  • 仮説を立てやすい:自分の好みを出発点にできる。ただし他の人にも当てはまるかは、実際に聞いたり遊んでもらったりして確かめる
  • こだわりが生まれる:「自分が本当に遊びたいゲーム」を作るので、細部まで丁寧に作れる

やり方

まず、自分がよく遊ぶゲームのジャンル・難易度・プレイ時間・好きな要素を書き出してみましょう。それがそのまま、ターゲットプレイヤーの輪郭になります。

💡 ポイント 自分と似た好みの人がいても、同じように楽しめるとは限りません。早めに試してもらい、反応をもとに企画を見直しましょう。


ターゲット設定シート(テンプレート)

ここまでの内容を整理するための、ターゲット設定シートをご用意しました。企画書と一緒に使ってください。

■ ターゲットプレイヤー設定シート

【基本情報】
・年齢層:
・ゲーム経験:(初心者 / ライトゲーマー / コアゲーマー)
・主なプレイ環境:(スマホ / PC / ブラウザ)

【プレイスタイル】
・プレイ時間(1回あたり):
・好きなプレイスタイル:(のんびり / 本気 / 探索)

【好きなゲームの傾向】
・好きなジャンル:
・好きな面白さの種類:(達成感 / 成長感 / 驚き / 競争 / 没入感 / 創造 / 緊張と解放)
・苦手なもの・避けたいもの:

【このゲームに求めること】
・プレイ後にどんな気持ちになってほしいか:
・どんなシーンで遊んでほしいか:

【一言でいうとどんな人か】
(例:「休憩時間にサクッと遊びたい、ゲーム初心者の社会人」)

記入例

■ ターゲットプレイヤー設定シート

【基本情報】
・年齢層:20〜30代
・ゲーム経験:ライトゲーマー
・主なプレイ環境:スマホ

【プレイスタイル】
・プレイ時間(1回あたり):5〜10分
・好きなプレイスタイル:のんびり

【好きなゲームの傾向】
・好きなジャンル:パズル・クリッカー
・好きな面白さの種類:達成感・成長感
・苦手なもの・避けたいもの:時間制限・高難易度・長いチュートリアル

【このゲームに求めること】
・プレイ後にどんな気持ちになってほしいか:「スッキリした」「また明日もやろう」
・どんなシーンで遊んでほしいか:通勤中・寝る前のちょっとした時間

【一言でいうとどんな人か】
「隙間時間にスマホでのんびり遊びたい、パズル好きの社会人」

まとめ

今回お伝えしたポイントをおさらいします。

  • 最初に優先するプレイヤーを決めると、設計の判断がしやすい
  • ターゲットを決めると難易度・操作・UI・世界観の設計判断がしやすくなる
  • ターゲットは「年齢・ゲーム経験」「プレイスタイル」「プレイ環境」の3軸で考える
  • 迷ったら「自分自身をターゲットにする」方法を試し、他の人にも遊んでもらう
  • ターゲット設定シートを企画書と一緒に使って、設計の軸を作ろう

次回は「1人開発に向いているゲームの規模感」について解説します。どこまで作ればいいのか、どこで妥協すべきかの判断基準をお伝えします。お楽しみに!


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参考にしたサイト

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