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この記事で分かること
2つのインディーゲームの事例から、企画を考える際の着眼点を紹介します。
- 原体験の言語化:「なぜ自分がこれを作りたいのか」を一文で言えているか
- 一言で伝わる核の設計:「このゲームの面白さは何か」を一文で言えているか
この記事では、この2つのパターンを実在の事例から抽出し、最後に自分の企画に当てはめて使えるチェックリストにまとめます。
事例として『Stardew Valley』『Vampire Survivors』を扱いますが、いずれも他社の作品です。ここでは各種メディアのインタビュー記事をもとに事実を要約し、出典を明記します。記事の言い回しをそのまま借りることはせず、要点だけを自分の言葉でまとめています。
1. なぜ「企画設計」から始めるのか
企画の初期段階でのズレは、後の「制作地獄」や「売上不振」に直結します。逆に言えば、企画設計の時点で押さえるべきポイントを押さえていれば、開発を最後まで走り切る力にも、リリース後の伝わりやすさにもつながります。
今回扱う2つの事例は、どちらも一人(または少人数)の個人開発から生まれたヒット作です。
2. パターン①:原体験の言語化(Stardew Valley)
何が起きたか
『Stardew Valley』の開発者Eric Barone氏(活動名ConcernedApe)は、情報科学を学んで大学を卒業後、定職が見つからず、プログラミングの技能を磨くためにゲームの個人開発を始めました(PC Gamer, 2016)。
Barone氏は子供の頃に熱中していた「Harvest Moon」シリーズへの愛着を、開発の原動力として繰り返し語っています。GQのインタビューでは、音楽とアートを自分で手がけたかったと語っています(GQ Magazine)。
開発期間は当初の想定を大きく超え、結果的に少なくとも4年半に及びました。この間、Barone氏は生活費を稼ぎながら開発を続け、一時は開発中のシステムを丸ごと作り直すような判断も経験しています(PC Gamer, 2016)。
なぜこれが機能したか
「自分が本当に遊びたかったゲームを作る」という動機は、長い開発を続ける支えの一つになり得ます。Barone氏は開発ブログへの反応にも励まされたと語っています。
裏を返すと、「流行っているから」「儲かりそうだから」という外発的な動機だけで続けられるかは、人や状況によって異なる、ということでもあります。
3. パターン②:一言で伝わる核の設計(Vampire Survivors)
何が起きたか
『Vampire Survivors』の開発者Luca Galante氏は、Phaserというフレームワークを使い、余暇に個人で開発を始めました(GameSpot)。モバイルゲーム「Magic Survival」からの着想を得て、キャラクターが自動で攻撃し続け、大量の敵の波を生き延びるというシンプルな仕組みを核に据えています。
GameSpotは、制作に1,000ユーロを超える費用がかかったと報じています。当初はitch.ioで100人ほどに遊んでもらうことを期待して公開しましたが、当初はその人数に届きませんでした。その後Steamで早期アクセス公開したところ、状況が一変します(GameSpot)。
価格についてGalante氏は、PC Gamerの取材に対し、戦略的に安く設定したのではなく、ゲームの作り込みの度合いに見合った公正な価格にしたかった、という趣旨を語っています(PC Gamer)。
なぜこれが機能したか
『Vampire Survivors』は「移動すると攻撃は自動で行われ、敵から得た経験値で強化しながら生き延びる」という、一言で説明できる核を持っていました。この分かりやすさは、配信者が視聴者に説明するコスト、プレイヤーが友人に勧める際の説明コストの低さに直結します。
低予算・シンプルな仕組みは「妥協の結果」でもありますが、結果として「一言で伝わる」という強みに転化した点は、企画段階で意識的に真似できるポイントです。
4. 自分の企画に当てはめるチェックリスト
以下の質問に、Yes/Noで答えてみてください。
- [ ] 自分のゲームの核となる面白さを、一文で言えるか
- [ ] その核は、既存の似たジャンルの作品のどんな不満点を解決しているか、具体的に言えるか
- [ ] 「なぜ自分がこれを作りたいのか」という動機は、開発が辛くなったときにも自分を支えられる強さがあるか
- [ ] その核は、他人に一言で説明したときに「面白そう」と伝わる内容か
- [ ] 予算や技術力の制約を、逆に「シンプルさ」という強みに変換できているか
すべてにYesと即答できなくても問題ありません。むしろ、答えに詰まった項目こそが、企画をもう一段掘り下げるべきポイントです。
5. 自分たちの実践との対比(任意)
謎解きADV『波無島事件』(制作記シリーズはこちら)は、Unityを使って小規模なタイトルを作り上げたいという動機から逆算して、企画や規模感を決めました。この規模感でも開発は苦戦の連続で、作りたいゲームの完成を目指して数年間開発を継続できる強い意志には、自分自身振り返っても素直に驚かされます。
これは、上のチェックリストで言う「動機は、開発が辛くなったときにも自分を支えられる強さがあるか」を、身をもって体験した例にあたります。
現在開発中の2Dアクション『STATION OOPS』についても、同様にチェックリストの項目に立ち返りながら企画を見直す余地があると考えています。こちらの詳しい企画背景は、STATION OOPSの制作記が公開され次第、別記事で扱う予定です。
まとめ
- 原体験の言語化と、一言で伝わる核の設計。この2つは、他社の成功事例から繰り返し観察できるパターンです
- どちらも「後付けの分析」ではなく、企画段階で意識的にチェックできる項目です
- 次回は「一人開発の完走術」として、スコープ管理と心理的負荷への向き合い方を扱います
企画を形にしていく前に、Unity・Unreal Engine・Godotの基礎を固めておきたい方は、以下の講座も参考にしてみてください。
参照元
- PC Gamer, “‘I’m in this whole new world’: Here’s what Eric Barone had to say…”
- GQ Magazine, Interview with Eric Barone
- Wikipedia, “Vampire Survivors”
- PC Gamer, “Vampire Survivors saved its creator from working on mobile gambling games”
- GameSpot, “How Vampire Survivors Went From Hobby Project To Game Of The Year”
