はじめに:「なんとなくテスト」から「観点を持ったテスト」へ
当サイトの既存記事「個人ゲーム開発のデバッグ・テストプレイの進め方【STEP5】」では、デバッグとテストの違い・他人にテストプレイしてもらう重要性・フィードバックの集め方について解説しました。
この記事ではさらに一歩踏み込んで、Unityに特化した具体的なデバッグ手法と、ジャンル別のテスト観点チェックリストを解説します。
「一通りプレイして問題なかった」だけでは見落とすバグが必ずあります。観点を持ってテストすることで、公開後の不具合報告を大幅に減らすことができます。
Unity Consoleの読み方:3種類のメッセージを理解する
Unityのデバッグで最初に覚えるべきツールがConsoleウィンドウです。Window → General → Consoleで開けます。
Consoleには3種類のメッセージが表示されます。
| アイコン | 種類 | 意味 | 対応の優先度 |
|---|---|---|---|
| 🔴 赤 | Error | スクリプトのエラー。ゲームが止まる原因になる | 最優先で対応 |
| 🟡 黄 | Warning | 問題になる可能性がある警告。今は動いているが将来バグになりうる | なるべく対応 |
| ⚪ 白 | Log | Debug.Logで出力した情報。開発者が自分で仕込むもの | 確認用 |
Consoleを効率よく使うコツ
① エラーをダブルクリックするとコードの該当行に飛べる
エラーメッセージをダブルクリックすると、Visual StudioやRiderで問題のあるコードの行が開きます。エラーが出たらまずダブルクリックして場所を特定しましょう。
② 「Clear on Play」を活用する
ConsoleツールバーのClear on Playをオンにすると、再生するたびに前のログが消えて見やすくなります。
③ エラーメッセージは全文コピーして検索する
NullReferenceException: Object reference not set to an instance of an object
PlayerController.Update () (at Assets/Scripts/PlayerController.cs:25)
このようなエラーが出たら、最初の1行をそのままGoogle検索すると解決策が見つかることがほとんどです。
Debug.Logを使ったデバッグの基本
Debug.Logは、コード内の任意の場所に「今ここを通っている」「この値はいくつか」を表示できるUnityのデバッグ機能です。
基本的な使い方
// 文字列を表示する
Debug.Log("ここを通過した");
// 変数の値を表示する
Debug.Log("スコア: " + score);
Debug.Log($"プレイヤー座標: {transform.position}");
// 警告として表示する(黄色)
Debug.LogWarning("HPが0になった");
// エラーとして表示する(赤)
Debug.LogError("致命的なエラーが発生した");
よくある使い方パターン
① 当たり判定が機能しているか確認する
void OnTriggerEnter2D(Collider2D other)
{
Debug.Log("衝突した相手: " + other.gameObject.name);
}
「当たり判定が効いていない」と思ったとき、このログが出るかどうかでColliderの設定ミスかスクリプトの問題かを切り分けられます。
② 条件分岐が正しく動いているか確認する
if (score >= 100)
{
Debug.Log("スコア100以上:クリア処理に入る");
GameClear();
}
else
{
Debug.Log($"スコア不足: 現在{score}点");
}
③ デバッグが終わったらコメントアウトする
// Debug.Log("スコア: " + score); // ← 公開前はコメントアウトまたは削除
Debug.Logを大量に残したまま公開すると、ゲームのパフォーマンスに影響する場合があります。公開前には不要なDebug.Logを整理しましょう。
ジャンル別テスト観点チェックリスト
ゲームが「とりあえず動く」状態になったら、ジャンルに応じた観点でテストを行います。以下のチェックリストを使って、漏れなく確認しましょう。
パズルゲームのチェックリスト
基本動作
□ すべての操作(クリック・スワイプ・キー)が正しく機能するか
□ ルール判定が正確に動作するか(消去・移動・クリア判定など)
□ 想定外の操作(連打・同時クリック)でバグが起きないか
□ ステージの初期状態が毎回正しくリセットされるか
ゲームフロー
□ クリア条件を満たしたときに正しくクリア画面に遷移するか
□ 残り手数・タイムリミットがある場合、ゲームオーバー処理が正しく動くか
□ リトライ時に状態が完全にリセットされるか(スコア・ステージ状態など)
□ 複数ステージある場合、最終ステージをクリアしたときの処理は正しいか
UI・表示
□ スコア・残り手数・タイムが正しい数値で表示されているか
□ ステージ番号の表示は正しいか
□ フォントが正しく表示されているか(日本語の文字化けがないか)
横スクロールアクションのチェックリスト
プレイヤー操作
□ 左右移動・ジャンプが正しく動作するか
□ 壁に挟まってスタックしないか
□ ジャンプを連打しても二段ジャンプ以上にならないか(意図しない場合)
□ 画面端で操作がおかしくならないか
□ 落下速度が自然か(重すぎ・軽すぎでないか)
当たり判定
□ 地面・壁・天井のすべての当たり判定が正しく機能するか
□ 敵との当たり判定でダメージが正しく発生するか
□ 当たり判定のサイズがスプライトと極端にずれていないか
□ 高速移動時にオブジェクトをすり抜けないか
ゲームフロー
□ ゲームオーバー(HP0・穴落下)が正しく機能するか
□ ゴール到達時にクリア処理が正しく動くか
□ リスタート時にHP・スコア・位置がリセットされるか
□ カメラがプレイヤーを正しく追従するか(端でのクランプも含む)
ノベルゲームのチェックリスト
テキスト・シナリオ
□ すべてのセリフが正しい順番で表示されるか
□ テキストの誤字・脱字がないか
□ 文字送りのスピードは適切か(速すぎ・遅すぎでないか)
□ テキストがUIの枠をはみ出していないか
□ 日本語フォントが正しく表示されているか
選択肢・分岐
□ すべての選択肢が正しいシナリオに分岐するか
□ 分岐後のシナリオが最後まで正しく進むか
□ バッドエンド・グッドエンドのすべてのルートを通ったか
□ 選択肢のボタンが正しく反応するか(連打時も含む)
演出
□ 背景・立ち絵の切り替えが正しいタイミングで行われるか
□ BGMのループ・切り替えが自然か(途切れ・ブツ切れがないか)
□ フェードイン・フェードアウトが正しく動作するか
□ セーブ・ロード機能がある場合、正しく保存・復元できるか
シューティングゲームのチェックリスト
自機・弾
□ 自機の移動が画面端でクランプされているか(画面外に出ないか)
□ 弾が正しい方向・速度で飛ぶか
□ 弾の発射間隔に制限があるか(連打で無限に出ないか)
□ 弾が画面外に出たときに正しくDestroyされているか(メモリリーク防止)
敵・当たり判定
□ 敵が正しいタイミング・位置に出現するか
□ 弾と敵の当たり判定が正しく機能するか
□ 敵が画面外に出たときに正しくDestroyされているか
□ 自機と敵の当たり判定でゲームオーバーが正しく発生するか
ゲームフロー
□ スコアが正しくカウントされているか
□ 残機・HPの表示と実際の値が一致しているか
□ ゲームオーバー後のリスタートで状態が完全にリセットされるか
□ 難易度が時間経過とともに正しく上昇するか(そういう設計の場合)
バグの再現手順の記録方法
バグを見つけたとき、「なんかおかしい」で終わらせず、再現手順を記録する習慣をつけましょう。再現手順が書けると、修正後に「直ったか確認する」作業も効率化できます。
バグ記録テンプレート
■ バグ報告
【バグID】: Bug-001
【発見日】:
【深刻度】: 高 / 中 / 低
高:ゲームが進行不能になる
中:不具合はあるが続行できる
低:見た目や軽微な挙動の問題
【タイトル】: (バグの内容を一言で)
【再現手順】:
1.
2.
3.
【期待される動作】: (本来こうなるべき)
【実際の動作】: (実際にはこうなっている)
【再現率】: 毎回 / たまに / 1回だけ
【Consoleのエラー】: (あれば貼り付け)
【スクリーンショット】: (あれば添付)
【修正状況】: 未対応 / 対応中 / 修正済み / 保留
記録ツールのおすすめ
- Notionのデータベース:ステータス管理・フィルタリングが便利
- Googleスプレッドシート:シンプルで共有しやすい
- 付箋アプリ:軽微なバグのメモに最適
まとめ
今回お伝えしたポイントをおさらいします。
- ConsoleのError(赤)は最優先で対応。ダブルクリックで該当行に飛べる
- Debug.Logで「今どこを通っているか・値はいくつか」を可視化する
- 公開前にはDebug.Logを整理してパフォーマンスへの影響を防ぐ
- ジャンル別チェックリストを使って観点を持ったテストを行う
- バグはテンプレートに記録して再現手順を残す習慣をつける
テストが完了したら、いよいよ公開です。次回は「UnityゲームをWebGLでビルドしてunityroom・itch.ioに公開する手順」を解説します!
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