実践ガイド

個人開発のマーケティング入門⑤:その人はどこにいる? 告知する場所を選ぶ

個人開発のマーケティング入門 第5回「告知する場所を選ぶ」

※本記事にはアフィリエイトリンク(広告)が含まれます。Amazonのアソシエイトとして、ゲームのタネは適格販売により収入を得ています。

紹介文と画像を用意したら、次はそれを見てもらう場所を考えます。検索、SNS、ストア、関連コミュニティ。選択肢はありますが、一人で同時に対応できる範囲には限りがあります。

まず、届けたい相手がいるか、紹介の内容が合うか、自分が続けられるかで候補を比べてみましょう。使う人が多い媒体でも、自分の作品に関心を持つ人へ届くとは限りません。

今回は、告知する場所を選び、そこから紹介ページや利用へ進んでもらう経路を一つ考えます。SNSの細かな操作や広告設定ではなく、最初にどこを試すかを決める回です。

まず、新しく知ってもらうのか、使っている人へ知らせるのかを決める

同じ投稿でも、初めて作品を見る人と、すでに遊んだ人では必要な説明が違います。まず、今回届けたい相手と、進んでほしい行動をそろえます。

今回の相手 伝えたいことの例 次の行動の例
作品をまだ知らない人 どんなゲームか、何を済ませられるツールか 紹介ページを見る、試す
名前や概要は知っている人 遊べるようになったこと、対応環境、利用条件 入手方法を確認する、購入する
すでに使っている人 更新した内容、使い方、今後の案内 更新する、新しい内容を試す

目的を一つ決めると、何を見せ、どこへリンクするかも考えやすくなります。更新を知らせる投稿なら、すでに使っている人が見に来る場所が候補です。初めて知ってもらうなら、作品の種類や利用場面を説明する入口が必要になります。

以下では、短編探索ゲームと、画像の幅をまとめてそろえるツールを架空の例として使います。第3回の「相手と価値」、第4回の紹介文や画像の案を、届け先へつなげてみます。

Among UsのTikTok運用は、人気獲得後の関係維持を目的にしていた

Among UsのSNSを担当したVictoria Tran氏は、公式TikTokの最初の投稿が2020年12月10日だったと、自身の運用分析で説明しています。当時の同作品には、すでに大きなプレイヤー層がありました。

同氏がその記録で挙げている目的は、関係の維持、交流、持続的な運用です。更新情報やゲームプレイ、スタジオらしさが伝わる内容などを分けて、投稿への反応を振り返っています。また、TikTokの反響がゲームの売上へどれだけつながったかは、明確に測れないとも説明しています。担当者本人によるTikTok運用の分析

この事例から考えたいのは、「その媒体で何をしたいか」を先に決めることです。すでにいるプレイヤーと交流する投稿と、まだ知られていない作品を紹介する投稿では、前提も確かめたい反応も変わります。

Among Usの再生数やフォロワー数を、自分の作品の目標にそのまま使う必要はありません。例えば、自分の短編ゲームなら、初めて見た人が何をするゲームか理解し、紹介ページまで進めたかを見る方法が考えられます。

相手が情報を探す場面から、告知先の候補を出す

第3回で考えた相手は、何かを探しているのか、普段の閲覧中に作品を見かけるのか。そこから候補を出すと、媒体名だけで選ぶより、用意する内容を考えやすくなります。

画面の幅が狭い場合は、表を横にスクロールして残りの列を読めます。

経路 相手との接点として考えられる場面 用意する内容の例 主な作業
Web検索 困り事の解決方法や、作品に関する情報を調べている 利用場面に合う説明、使い方、実際の結果 説明ページの作成・更新、検索での状態確認
SNS ふだんの閲覧で、画像や動画、紹介文を見かける 遊びや便利さが伝わる短い紹介 素材づくり、投稿、返信
ストア・配布サイト内 ジャンルや分類から、次に使う作品を探している 作品に合う分類、画面、利用条件 ページの整備、掲載条件の確認
関連コミュニティ 同じ趣味や作業について話している その場の関心に合う紹介や、求められた情報 ルール確認、参加、質問への対応
メディア・配信者 作品を紹介する相手が、読者・視聴者に合う題材を探している 概要、実画面、試せる版、連絡先 相手選び、紹介資料の準備、連絡
有料広告 広告枠を通して、紹介を見てもらう機会を作る 掲載先に合う広告と、進み先のページ 素材・予算の設定、反応と費用の確認

例えば画像ツールなら、「記事用の画像を同じ幅にしたい」という作業場面を説明するページが、検索向けの候補になります。短編ゲームなら、雰囲気や実際の操作を見せる投稿から、詳しい紹介へ進んでもらう案が考えられます。

これらは選び方の例で、ゲームはSNS、ツールは検索という決まりではありません。相手に話を聞けるなら、直近で似た作品や方法を、どこで知り、何を見て選んだかを確かめます。

Google公式ガイドも、ユーザーが内容を理解し、検索結果からアクセスするか判断できるようにすることを説明しています。一方で、検索への登録が必ず行われる方法はないとも案内しています。説明ページを公開したことと、検索から見つけてもらえることは分けて確認します。GoogleのSEOスターターガイド

ストアや配布サイトでは、見つかる仕組みも確認する

ストア内で探している人へ届けたいなら、作品の説明や画像に加えて、分類と掲載の状態を確認します。同じ「検索」という名前でも、サービスによって仕組みは違います。

Steam公式は、作品の要素、テーマ、ジャンルを正しく表すタグを設定するよう案内しています。タグは、作品を分類するための目印です。流行している言葉を付ける前に、自分の作品の説明と合っているかを見直します。Steamworksの露出に関する説明

itch.ioでは、ページの公開と、検索・一覧への掲載を区別しています。また、作品名で探す検索と、タグを通して新しい作品を探す一覧は別の仕組みです。公式説明では、ページ本文の単語や追加したタグが、そのまま作品を検索で表示させる語になるわけではありません。タグは、検索とは別の一覧で作品を見つけるために使われます。itch.ioの検索・一覧掲載の説明

自分が使うサイトでは、作品名で探せるか、掲載条件を満たしているか、分類が内容と合っているかを調べます。掲載に時間がかかる場合もあるため、すぐ見つからない理由を、告知文だけの問題と決めつけないようにします。

コミュニティや紹介依頼は、その場所の関心とルールに合わせる

関連コミュニティを候補にするときは、まずどんな話題があり、作品紹介をどこまで受け付けているかを読みます。専用の紹介欄や投稿できる曜日があるなら、それに従います。紹介を認めていない場所へ、別の話題を装ってリンクを貼る方法は勧められません。

例えば、画像を扱う人が集まる場所でも、作品を宣伝する投稿と、質問に答える投稿では受け取られ方が違います。参加するときは自分が制作したツールであることを伝え、その場で求められている内容に合わせます。投稿してよいか分からなければ、管理者の案内を確認します。

メディアや配信者へ紹介を依頼する場合も、普段扱う作品や、依頼の受け付け方を見ます。近いジャンルを扱っているか、体験できる版が必要か、問い合わせ先が示されているかを確認し、その相手が判断できる資料をまとめます。

概要、実際の画面、対応環境、入手先や試せる版へのリンク、連絡先があると、どんな作品かを確認してもらえます。公開中か制作中かも明示します。依頼したことだけで掲載や配信が決まるわけではないので、返事や紹介を前提に予定を組まないようにします。

最初は一つ選び、作業量と反応を記録する

候補が出たら、次の観点で比べてみます。

  1. 想定する相手が、その場所で情報を探したり見たりしているか。
  2. 第4回で用意した紹介文や画面が、その場所の見方に合うか。
  3. 投稿後の返信やページ更新まで含めて、作業を続けられるか。

相手がいると考える理由も書き添えます。「利用者に、そこで知ったと聞いた」のか、「似た作品を見かけたので自分も合いそうだと考えた」のかでは、確かめられている範囲が違います。

まず一つを主に試し、そこから紹介ページや利用へ進めるようにします。例えばSNSを選ぶなら、投稿の画像だけで終わらず、作品の詳しい説明や入手先が分かるリンクも確認します。複数の経路を選ぶ場合も、作業が増えて対応できなくなっていないか見直します。

広告を使うなら、費用の上限と、何を確かめるために使うかを先に決めます。費用をかけて表示されたことと、利用や購入が増えたことは別です。紹介ページから利用まで進めるかを先に確かめ、無料で試せる経路を含めて選べます。

投稿の表示、紹介ページへの訪問、利用開始は分けて残し、分かる範囲で経路も記録します。数字の定義や比較方法は第8回で扱います。この回では、候補を選んだ理由と作業負担を残しましょう。一度の投稿だけで媒体全体の向き不向きを決めず、検索の掲載にかかる時間も踏まえて、見直す時期を決めます。

届け先と、そこから先の経路を書き出す

この回で決めたいのは、最初に試す場所と、その理由です。まだ分からない部分は仮の候補として残し、次に確かめることへつなげます。

決めること 自分の作品でのメモ
今回届けたい相手と、進んでほしい行動 ____________
相手が情報を見る場所と、そう考える理由 ____________
最初に試す告知先 ____________
その場所のルール・掲載条件 ____________
用意する紹介文や画面 ____________
紹介を見た後に進むページ・利用先 ____________
準備と対応に使える時間、費用の上限 ____________
確認する反応と、見直す時期 ____________

まず、今の相手に合う候補を一つ選び、紹介から利用先までのリンクをたどってみましょう。紹介の機会があっても、次に進む場所が分からなければ、利用までの手間が残ります。

次回の第6回:紹介ページから利用までのハードルを下げるでは、興味を持った人が紹介ページから利用まで進めるかを詳しく見直します。料金、対応環境、登録やダウンロードの手順など、試す前に気になることを整理します。

第4回:機能を並べても伝わらない。紹介文と画像を組み立てる

連載目次:個人開発のマーケティング入門

告知先を考える前提を、マーケティング入門書で整理する

告知先を選ぶ前に、顧客の理解や価値の伝え方を基礎から学びたい場合は、入門書を探す方法もあります。目次や試し読みで、相手の情報の集め方、伝える内容、施策の振り返りを扱っているか確認してみてください。

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