実践ガイド

個人開発のマーケティング入門⑧:見られた数から、使われた数へ。反応をどう確かめるか

個人開発のマーケティング入門 第8回「見られた数から使われた数へ」

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投稿の表示回数が増えたら、その告知はうまくいったのでしょうか。知ってもらうことが目的なら手掛かりになりますが、実際に試してもらえたかは、表示回数だけでは分かりません。

今回は、何を数えた数字かを確かめ、目的に合う行動まで分けて見る方法を考えます。数字をそろえるために、最初から大きな計測システムを作る必要はありません。今確認できることと、まだ分からないことを記録し、次に変える箇所を選びます。

第7回の告知予定表を手元に置いてみてください。以下では、短編探索ゲームと、画像の幅をまとめてそろえるツールを架空の例として使います。

まず、今回確かめる行動を一つ決める

ゲームを知ってもらいたいのか、体験版を試してほしいのか、製品版を購入してほしいのか。目的が変われば、見る数字も変わります。第6回で考えた、最初の体験までの到達点を使えます。

確かめたいこと 数える候補 その数字だけでは分からないこと
紹介が見られたか 投稿の表示回数、動画の再生回数 内容を理解したか、利用したか
詳しい説明へ進んだか 紹介ページへの訪問、配布先リンクのクリック 入手や起動が完了したか
最初の体験まで進んだか ゲームの最初の操作、ツールでの保存完了 満足したか、また使いたいか
購入されたか 購入完了の件数 遊び始めたか、使い続けたか

表は計測候補です。自分の環境ですべて取れるとは限りません。体験版のダウンロード数しか分からなければ、それを起動した人数とは書かず、確認できている範囲として残します。

画像ツールなら、今回は「指定した幅の画像を保存できたか」を主に確かめる、と決める案があります。編集画面を開いた数や処理を始めた数は、そこへ進む途中の手掛かりです。

Splendid Appsは、掲載内容を試し、複数の結果を分けて確認した

Googleが紹介するSplendid Appsは、ロゴ制作アプリのアイコンやスクリーンショットを検証しました。無料・有料の機能を画像で伝えたり、国ごとに素材を試したりしています。複数の実験を進めた期間は約4か月で、当時すでに多くの利用者がいるアプリの事例です。

Googleの事例記事は、有効と判断した案の採用後に、ストア掲載情報の訪問者が20%、ユーザーが10%、収益が9%増えたと報告しています。Google PlayによるSplendid Appsの事例紹介

これは、同社とGoogleが公開した条件での報告です。アイコン一枚を変えれば収益が9%増える、という一般的な効果ではありません。公開記事だけでは実験ごとの元データや、すべての変更の影響を独立して確かめられません。

自分の作品で参考にしたいのは、何を変え、どの結果を見るかを分ける考え方です。訪問者、利用者、収益は別の数字なので、一つが増えたことから残りも同じように増えたとは判断しません。

「回数」「人数」「期間」を、数字と一緒に残す

同じ人が何度もページを開くことがあります。延べの訪問回数と、重複を除いた訪問者数は違います。別の媒体に表示された数を足しても、その合計を見た人の人数とは呼べません。

記録には、数字の名前、何を数えるか、期間、対象のページや経路、参照したレポートを添えます。国や言語、端末、新規利用者だけなどの絞り込みを使ったなら、その条件も残します。比較するときに、集計条件をそろえるためです。

指標の意味が変わる場合もあります。2026年11月に確認したGoogle Playの公式説明では、ストア掲載情報のパフォーマンスは、インストールや「開く」などのボタンをクリックした人数に焦点を当てています。インストール完了などの成果は、別の指標で確認します。Google Playの掲載情報の指標に関する説明

過去の事例で使われた「ユーザー獲得」「コンバージョン」と、今の管理画面の項目を、名前だけで同じだと決めないようにします。コンバージョンは、購入や登録など、そこで成果として設定した行動を指す言葉です。何の行動を、どの条件で数えるかまで確認します。

どこから来たかも、計測できる範囲で見る

経路を区別できると、第5回で選んだ告知先を振り返りやすくなります。例えば、SNSの紹介と自分のサイトの案内を分けて記録する方法です。

対応するサービスでは、リンクにUTMという目印を付け、どの経路や告知から来たかを集計できます。掲載先や告知の名前を決めておくと、後から照合しやすくなります。UTMを付けるだけで、すべての行動が自動で分かるわけではありません。

SteamのUTMレポートは、訪問と、ウィッシュリスト追加や購入などを扱います。ただし、成果の集計にはログイン状態などの条件があり、リンクを開いてから別のブラウザへ移った行動を結び付けられない場合もあります。また、本編ページへのUTMリンクでは、体験版のダウンロードは本編の成果として集計されません。SteamworksのUTM計測の説明

自分が使うレポートでも、対象になる行動、集計されない場合、反映までの時間を確認します。表示されない数字は、ゼロとは限りません。「未計測」「対象外」「反映待ち」など、分かる状態を残します。

最初は既存の管理画面で確認できる数字から始められます。計測を追加するなら、必要な行動の集計に範囲を絞ります。経路を区別するためのURLに、利用者の氏名やメールアドレスを入れる必要はありません。

割合を見るときは、分母と件数も確かめる

次は、仕組みを説明するための架空の数字です。同じ対象期間に画像ツールを初めて訪れた200人について、決めた観測期間内の行動を追えたと仮定します。何度操作しても、一人は各段階で一度だけ数えます。

確認できた行動 人数 この例での割合
紹介ページを訪れた 200人 比較の起点
画像の処理を始めた 40人 訪問した人の20%
処理した画像を保存した 10人 処理を始めた人の25%、訪問した人の5%

「保存した割合」が25%なのか5%なのかは、何人を起点にするかで変わります。割合を書くときは、「処理を始めた40人のうち10人」のように元の件数も添えます。分母がゼロなら割合は計算できません。

この表のような計算には、同じ対象の人と、その後の行動を結び付けて数えられることが前提です。別のレポートの訪問回数と、全利用者の保存回数を割っても、訪問した人が保存した割合にはなりません。結び付けられない場合は、それぞれの件数として並べます。

40人から10人になった理由も、数字だけでは分かりません。保存の説明が見つからなかった、処理結果が目的に合わなかった、後で試すことにした、といった可能性があります。第6回の操作確認や、利用者の話と合わせて考えます。

次に変える箇所と、確かめ方を先に決める

例えば、保存方法についての質問があり、実際の操作確認でも保存ボタンが見つからなかったなら、次は保存ボタンの表示を見直す案があります。「変えれば利用が増える」と決めず、そう考えた根拠と、修正後に何を確かめるかを残します。

一度に紹介文、画像、価格、配布方法をすべて変えると、反応の変化が何によるものかを考えにくくなります。Google Playの掲載情報テストも、変更の影響を判断しやすくするため、素材を一つずつ試すことを勧めています。Google PlayのA/Bテストの説明

利用者を無作為に分け、複数の案を同じ時期に見せて、決めた行動を比較する方法がA/Bテストです。対応機能を使う場合は、指標や対象の条件、判断に必要なデータがそろったかを確認します。小さな途中経過だけで優劣を決めたり、望む結果が出た時点で確認を終えたりしないようにします。

一方、掲載内容を差し替え、変更前後の数字を比べるだけなら、同じ条件の比較になるとは限りません。告知の量、曜日、外部での紹介、割引などが同時に変わることがあります。何が起きたかも一緒に記録します。一箇所だけ変えても、前後の差をその変更の効果とは断定できません。

訪問が少ない作品では、短期間の割合が数人の行動で大きく変わります。期間だけ延ばせば必ず判断できるとも限りません。データが足りないときは「まだ判断できない」と残し、操作の観察や聞き取りから、次の改善候補を探せます。リンク切れや明らかな起動不良は、比較実験を待たずに直します。

次に確かめる一箇所を、記録にまとめる

数字を集めて終わらないよう、次の欄を埋めてみてください。第7回の予定表に、確認する日と一緒に加えられます。

記録すること 自分の作品でのメモ
今回の目的と、主に確かめる行動 ____________
数字の定義・期間・対象・参照元 ____________
確認できた件数と、割合の分母 ____________
計測できていないこと ____________
観察した操作や、本人が話したこと ____________
次に変える一箇所と、そう考える理由 ____________
比べる方法と、同時に変わる条件 ____________
結果を見直す日と、判断できない場合の対応 ____________

例えば「ダウンロードは確認できるが、起動は分からない」と分かれば、起動まで試してもらう確認を予定に入れる案があります。保存できた人数が分かっても満足度は分からなければ、使った人に話を聞くのが次の候補です。

今回の記録で、分かったことと分からないことを分け、次に確かめることを一つ選びましょう。次回の第9回:使ってくれた人の声を、次の改善と紹介につなげるでは、最終回として、使ってくれた人の声を、作品の改善と新しい紹介へどうつなげるかを考えます。

第7回:公開日の告知だけで終わらせない。無理なく届け続ける計画

連載目次:個人開発のマーケティング入門

数字と施策の関係を、入門書でも考える

反応を確かめる前提として、マーケティングの目的や施策の振り返りを基礎から学びたい場合は、入門書を探す方法もあります。目次や試し読みで、顧客の理解、利用までの流れ、成果の確かめ方を扱っているか確認してみてください。

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