実践ガイド

個人開発のマーケティング入門④:機能を並べても伝わらない。紹介文と画像を組み立てる

個人開発のマーケティング入門 第4回「伝わる紹介文と画像を組み立てる」

※本記事にはアフィリエイトリンク(広告)が含まれます。Amazonのアソシエイトとして、ゲームのタネは適格販売により収入を得ています。

作品の紹介に、会話、探索、画像処理、まとめて保存といった機能を並べてみる。それでも、初めて見た人が何に興味を持てばよいのか、分かりにくいことがあります。

第3回では、最初に届けたい相手と、その人が得られる価値を一文にしました。今回はその一文を使い、紹介文で伝えることと、画面で見せることをそろえる作業へ進みます。

目指すのは、作品を知らない人が「何をするものか」「自分に合いそうか」「次にどこを見ればよいか」を判断できる紹介です。Slackの動画制作の事例を手掛かりに、ゲームとツールの説明・画像・短い動画を組み立てます。

まず、最初に伝える価値を一つ選ぶ

最初の一文に、すべての機能を入れる必要はありません。第3回のメモから、相手が期待する体験や、終えたい作業を選びます。作品の種類や、実際に何をするのかも添えると、説明を具体化できます。

以下では、風景を眺めながら小さな島を歩く短編探索ゲームと、画像の幅をまとめてそろえるツールを想定します。いずれも説明用の架空の作品です。

作品 機能を並べた説明 利用する場面や体験を加えた説明例
短編探索ゲーム 移動、会話、調べる機能があります 小さな島を歩き、風景と会話を楽しむ短編探索ゲーム。休日に、ひとつの物語を遊び切りたい人へ。
画像ツール 複数画像の読み込み、サイズ変更、保存ができます 記事に載せる複数の画像を、まとめて同じ幅へ。画像を選び、仕上がりを確認して保存できます。

機能名も、操作や対応範囲を伝えるためには役立ちます。まず興味を持ってもらう一文を置き、その後に必要な機能や条件を説明すると、情報の役割を分けられます。

例えば、画像ツールの説明で「複数の画像をまとめて」と伝えたなら、画像を複数選んだ画面や、処理後の結果を見せる候補が浮かびます。紹介文を作ることが、次に撮る画面を決める手掛かりにもなります。

Slackの紹介動画は、自分たちの利用体験を物語にした

Slackの紹介動画を制作したSandwichは、最初は自分たちも新しいツールが必要だと思っていなかったと説明しています。実際にSlackを試して仕事の進め方が変わり、その経験を紹介の軸にしたという記録です。

動画は同社のオフィスで、自分たちが登場するドキュメンタリー風に撮影されました。制作会社の解説によると、技術的な説明や画面を詰め込むより、人が実際に使う場面へ機能を結び付けています。最初のメールのやり取りには再演も含まれます。Sandwichによる制作解説

参考になるのは、「何が入っているか」に加え、「使う人にどんな変化があるか」を紹介の中心に置く考え方です。個人開発なら、大がかりな撮影をしなくても、実際の作業やプレイの一場面を見せるところから始められます。この資料だけから、動画による登録者数や売上の増加までは分かりません。

画像ツールなら、記事用の画像を用意する場面から、まとめて幅をそろえる操作、保存した結果へとつなげる案が考えられます。短編ゲームなら、島を歩き、気になる場所で立ち止まり、人物と会話する流れから、遊ぶ時間の雰囲気を伝える方法があります。

一文の紹介から、読む順番を組み立てる

紹介の一文ができたら、もう少し知りたい人が判断できる情報を足します。自分の紹介ページを想定するなら、次の順番から考えられます。

  1. 作品の種類と、得られる体験・便利さを一文で伝える。
  2. その説明に合う実際の画面や、操作の様子を見せる。
  3. 対応環境、料金、使える範囲など、選ぶための条件を示す。
  4. 詳細を見る、試す、購入するといった、次の行動を案内する。

ゲームなら、冒頭で探索の雰囲気を見せた後に、操作方法や対応機器、確認済みのプレイ時間などを載せる案が考えられます。まだ測っていない所要時間を、紹介のために付け足す必要はありません。

この回では、紹介に必要な情報と見せる順番を決めます。料金や登録条件をどこに置くか、ボタンを押した後の動作をどう伝えるかは、第6回の利用手順の見直しで詳しく扱います。

画像には、伝える役割を割り当てる

画像を選ぶときは、きれいに撮れているかに加えて、「何を知ってもらうための一枚か」を決めてみます。似た場面ばかりなら、別の操作や体験が分かる画面に入れ替える余地があります。

伝えたいこと 短編探索ゲームの画面候補 画像ツールの画面候補
何をする作品か 主人公を動かして島を歩いている場面 複数の画像を選び、幅を設定している画面
どんな体験・変化があるか 景色を眺めたり、人物と会話したりする場面 処理前後で画像の幅がそろったことが分かる結果
どう使い始めるか 実際の操作が分かる導入の場面 選択、設定、結果の確認へ進む流れ

これは画像の役割を考える例です。必要な枚数やサイズは掲載先で確認し、自分の作品に合うものを選びます。

自分の紹介ページでは、画像の下に短い説明を添える方法もあります。例えばツールなら「幅の違う画像を選び、同じ幅にそろえた結果」と書くと、何を見比べるのかを伝えられます。比較する画像には同じ素材を使い、文字の大きさや切り抜き方だけで効果が大きく見えるような見せ方は避けます。

掲載する場所によって、画像の使い方にも条件があります。Steamの公式資料では、ストアのスクリーンショットにはゲームプレイを示し、コンセプトアートや宣伝文句などを使わないよう案内しています。宣伝用の画像と、実際に遊ぶ画面を見せる欄を分けて考える必要があります。Steamworksのストア画像の説明

自分の紹介ページなど、掲載先のルールで認められている場所で制作中のイメージや構成図を使う場合は、実際の利用画面との違いが分かる説明を添えます。他の人の作品や写真を紹介素材に使うときには、利用条件を確認します。

短い動画は、操作と変化が分かる場面から作る

動きで伝わる作品なら、実際のプレイや操作を短く録画する方法があります。最初に何を見せるかを決め、そこへ至るまでの待ち時間や、関係の薄い場面を整理します。

Steamは、ストアページで最初に表示するトレーラーを、主にゲームプレイで構成することを勧めています。見ている人が実際に何をするゲームか理解できることや、音声なしで見る場合も考えることを案内しています。Steamworksのトレーラー制作の説明

自分の紹介ページ用の動画なら、例えば次のように、操作とその結果をつなげてみます。

流れ 短編探索ゲームの構成例 画像ツールの構成例
最初に見せる場面 島を歩く実際のゲーム画面 幅をそろえたい複数の画像
中心となる動き 気になる場所を調べる、人物と会話する 画像を選び、そろえる幅を設定する
その後の変化 会話や探索が進む様子。結末まで見せるかは作品に合わせる 処理結果を確認し、保存する
次の案内 詳細や入手方法を確認できる場所 使い方や利用画面へ進める場所

編集で待ち時間を省いたり、早送りしたりする場合は、そのことが分かるようにします。操作の理解を助ける編集と、実際より速く処理できるように見せる編集は区別します。投稿先やストアの条件も、公開前に確認します。

初めて見る人に、何が伝わったかを確かめる

紹介文と素材がそろったら、作品を知らない人に見てもらいます。第3回で考えた相手に近い人へ頼めると、利用場面に合う説明になっているかを確かめる材料になります。

作品の説明を補う前に、「何をするものだと思いましたか」「自分で試すなら、次にどこを見ますか」と聞いてみます。気に入ったかどうかに加えて、どんな内容だと受け取ったかを知るためです。

例えば、会話と探索を楽しむゲームが、映像の戦闘場面だけを見てアクション中心だと思われたなら、見せる場面を考え直します。ツールの結果画像だけでは操作が分からなかったなら、手順が見える画面を加える案があります。どちらも、この説明のための仮の状況です。

掲載したときに近い大きさでも、文字や操作が読めるかを確認します。動画は音を消して見直し、音が体験の中心なら、何の音を楽しむ作品かを紹介文でも伝えます。

Webページでは、画像を見られない場合にも内容が分かるようにします。画像の意味を伝える短い説明を、代わりに読めるテキストである代替テキスト(alt)などに用意する方法があります。W3Cの解説も、情報を伝える画像には、見た目だけの説明に限らず、その意味や内容を伝えるテキストを示しています。W3C WAIの画像に関する解説

「伝わった」という感想と、実際のダウンロードや購入は別に記録します。まず説明の受け取られ方を確かめ、数字を見るときは第1回の「どこで止まっているか」に戻って考えます。

紹介文一本と、その価値が見える素材を用意する

今回の作業は、次の欄へまとめられます。まず紹介文一本と、それを確かめられる画面や動画から用意してみましょう。

決めること 自分の作品でのメモ
最初に届けたい相手と利用場面 ____________
最初の一文で伝える体験・便利さ ____________
その説明に合う実際の画面・操作 ____________
画像ごとに伝えること ____________
試す前に知らせる条件 ____________
次に進んでほしい行動とリンク先 ____________
見てもらって分かったことと、直す一箇所 ____________

画像が作品の雰囲気を伝えていても、説明文が別の遊び方を期待させていないか。便利さを書いていても、それが分かる操作を見せられているか。文章と画面を合わせて見直すと、次に直したい場所を選びやすくなります。

次回の第5回:その人はどこにいる? 告知する場所を選ぶでは、用意した紹介をどこへ届けるかを考えます。検索、SNS、ストア、関連コミュニティなどから、想定する相手に合う場所と、自分が続けられる経路を選びます。

第3回:「誰でも使える」から、最初に届けたい相手を絞る

連載目次:個人開発のマーケティング入門

価値の伝え方を、マーケティング入門書で整理する

紹介文を考える前提になる、顧客の理解や価値の伝え方を基礎から学びたい場合は、入門書を探す方法もあります。目次や試し読みで、相手の選び方、利用場面、伝える内容の整理を扱っているか確認してみてください。

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