実践ガイド

ゲームとアプリの最初の体験③:失敗したら、もう一度試せる? やり直しの負担を減らす

ゲームとアプリの最初の体験 第3回「失敗してももう一度試せる?」

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仕掛けの答えを変えて試したいだけなのに、長い移動や説明からやり直す。画像の幅を入力し直したいだけなのに、画像の選択から始める。次に何を変えたいか分かっていても、その手前の作業が重いと、もう一度試すか迷うことがあります。

第2回では、一つの操作と結果を確かめる練習場面を考えました。今回は、結果が思った通りにならなかったあとに注目します。失敗したときに何を残し、どこへ戻り、どう再開するかを決めることが目標です。

次に試したい場面まで、何をやり直すかを書き出す

「やり直せる」と言っても、最初の画面へ戻れるだけでは、次の試行へすぐ進めるとは限りません。失敗してから再び試すまでの操作を並べてみましょう。

短編ゲームなら、失敗したことが分かる、再開する、仕掛けまで移動する、手掛かりを読み直す、もう一度仕掛けを動かす、といった流れが候補です。画像ツールなら、エラーを読む、入力欄へ戻る、必要なら画像を選び直す、値を直す、結果を確認する、という流れが考えられます。

そのうち、次の工夫に必要な作業はどれでしょうか。同じ説明を何度も読む、変更していない入力を埋め直す、といった部分は、残す必要があるかを確かめられます。

ゲームでは、失敗で失うものも設計の一部です。資源や進行を失う緊張感を狙う作品もあります。何をかけて挑戦する遊びなのかを決めたうえで、毎回同じ操作を繰り返す部分まで、その狙いに必要かを考えます。

Celesteは、素早く復帰して挑み続けられることを紹介している

『Celeste』の開発元による販売ページは、ジャンプ、空中ダッシュ、登る操作を説明し、失敗後に素早く復帰できることを作品の特徴として紹介しています。Celesteの開発元による紹介

自作で参考にするなら、次に変えたい動きが浮かんだときに、その試行まで進めるかを考える手掛かりになります。失敗するたびに、再開までの待ち時間、メニュー操作、同じ説明の読み直しが重なっていないかを確かめます。

これは公式の作品紹介を基にした応用案です。Celesteの復帰までの秒数や、個々の再開地点を実機で測った記録ではありません。同じ仕組みにすれば継続率が上がる、と判断する根拠にもしていません。

短編ゲームでは、残す情報と戻す状態を分ける

ここからは、これまでの回と同じ、短編探索ゲームと画像の幅をそろえるツールを例にします。どちらも説明用の架空の作品です。

短編ゲームで、メモを読んで仕掛けを動かす場面を考えます。違う答えを試すたびに最初の部屋から移動し、同じメモを探す必要があるなら、次の工夫に集中できる流れかを見直せます。

例えば、仕掛けをもう一度試せる状態に戻し、一度読んだメモはその場でも確認できるようにする案があります。ただし、「戻る」の意味は明確にしておきます。仕掛けの状態だけを初期化するのか、部屋全体をやり直すのかで、失う進行が違うからです。

決めること 短編ゲームの設計案
どの結果からやり直すか 仕掛けの答えが合わず、扉が開かなかったとき
残すもの 一度読んだメモを確認する手段と、試した内容を考える時間
戻すもの 再び仕掛けを操作できる状態
利用者へ伝えること 何が起きたか、次にどこから試せるか、どの進行が失われるか

戻った先で、何が変わり、何が残ったか分かることも必要です。失敗の理由を考える前に急に再開させると、何を試したか振り返りにくい場合があります。速く動き直せることと、落ち着いて確かめられることを両立できるか考えます。

なお、いつでも完全な正解を表示する案とは分けて扱います。今回は再挑戦へ進む流れを決め、ヒントや難易度をどこまで選べるようにするかは、第4回で考えます。

GIMPでは、編集の取り消しとファイルへの保存は扱いが違う

画像編集ソフトGIMPの公式マニュアルは、多くの画像操作を取り消し、取り消した操作をやり直せると説明しています。一方、取り消し履歴はGIMPの作業用形式であるXCFファイルには保存されないため、ファイルを閉じて開き直すと履歴は空になります。ファイルへの保存自体も、取り消せる操作には含まれていません。GIMP 3.0の取り消しに関する公式マニュアル

この区別は、自作ツールで「元に戻す」と案内する範囲を考える材料になります。編集画面で前の設定へ戻すこと、保存したファイルを元の内容へ戻すこと、アプリを閉じたあとで作業を再開することは、それぞれに確認が必要です。

自分のツールにも取り消しボタンがあるなら、何の操作をどこまで戻せるかを確かめます。保存後や画面を閉じたあとも戻せるとは限りません。ここで紹介したGIMPの説明も、すべての編集や外部ファイルの変更を無条件に復元できるという意味ではありません。

画像ツールでは、入力を残し、直す場所を伝える

架空の画像ツールで、出力幅に受け付けられない値を入力したとします。「失敗しました」と表示し、選んだ画像やほかの設定まで消してしまうと、どの部分を直せばよいか分かりにくくなります。

設計案としては、受け付けられなかった項目を示し、修正に使える画像と設定は保持しておきます。幅の形式や利用できる範囲を案内し、正しく入力できている項目を、もう一度埋め直す必要があるかも見直します。

W3Cの入力エラーに関する解説は、システムが入力エラーを検出し、修正方法が分かる場合に、適切な修正案を伝えることを扱っています。自分のツールでも、問題が起きたことに加え、直す場所と方法が伝わるかを確かめる観点になります。W3Cのエラー修正案に関する解説

起きたこと 利用者へ伝えることの例 残す・戻す状態の案
出力幅の入力を受け付けられない 該当する欄と、入力できる形式・範囲 選んだ画像と、修正に使える入力を残す
加工後の見た目が意図と違う 元の設定へ戻せるか、再調整する場所はどこか 元の画像を残し、設定を変えてプレビューし直す
ファイルを保存できなかった 保存できていないことと、確認できる対処方法 再保存に必要な結果を保持できるか確かめる

これは架空のツールの設計案です。画像や入力を保持できる条件、保存の成否を確かめる方法は、実際の実装と環境に合わせて確認してください。正しい入力に直せば、どんな環境でも必ず保存できると約束するものではありません。

戻せない操作は、実行前に結果を確かめられるようにする

手軽に試せる場面を作っても、元のファイルを上書きしたり、変更を捨てたりする操作には別の配慮が必要です。画像ツールなら、元画像とは別のファイルとして保存する方法や、上書きする対象を事前に確認する流れを考えます。

どの操作にも確認画面を増やせばよい、とは限りません。すぐ試し直せる設定の変更と、戻せない可能性のある上書きとでは、確かめたい内容が違います。利用者が結果を判断するために必要な情報を、その操作の前に置きます。

例えば、「やり直す」という表示が、プレビューの再生成なのか、編集内容の破棄なのかで意味は変わります。何が残り、何が失われるかに合う言葉を選びます。選択を取り消して作業へ戻る手段も用意できるか考えましょう。

画面上で取り消しできると表示する場合は、実際に戻した結果まで確かめます。セーブやファイルを守る実装について詳しく調べる場合は、既存のセーブのバックアップ・検証・復元の記事も参照できます。今回は、利用者に見える戻り方と、残す内容を整理します。

今回は、一つの失敗から再開までをたどる

第2回で考えた練習場面から、思った通りにならない場合を一つ選んでみてください。

書き出すこと 自分の作品についてのメモ
どんな結果から、何を試し直したいか ____________
利用者に残したい情報・入力・進行 ____________
元に戻す状態と、戻さない状態 ____________
再び試すまでに必要な操作と待ち時間 ____________
何が起きたか、どう直すかの案内 ____________
実行前に知らせる必要がある、戻せない変更 ____________
実際にやり直して確かめたいこと ____________

書き出したら、利用者と同じ順序で再開までたどります。読んだメモをまた探していないか、入力済みの値を繰り返し埋めていないか、保存できたかを判断できるか。その中から、今回見直す部分を一つ選んでください。

再挑戦まで進めたことと、理解が深まったこと、使い続けたいと思ったことは分けて確かめます。観察の準備や結果の記録は、第5回で詳しく扱います。

第4回「難しすぎる人と、簡単すぎる人。ヒントと支援機能の考え方」では、試し直せる流れを踏まえ、困ったときにどんな助けを選べるようにするかを考えます。

第2回:触れば分かる場面を作る/連載目次

再挑戦や取り消しの設計を本で学びたい方へ

ゲームデザインの本なら、失敗と再挑戦、再開地点、手応えの作り方を扱っているかを確認してみてください。利用者の体験(UX)を扱う本では、入力エラーの伝え方、取り消し、重要な操作の確認などが、自分の課題と合うかを目次で確かめられます。

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事例と設計資料は2026年11月3日に公式情報で確認しました。実在ゲーム・ソフトの実操作、復帰時間、利用者の理解度や継続率の実測は行っていません。

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