実践ガイド

ゲームとアプリの最初の体験②:説明を増やす前に、触れば分かる場面を作る

ゲームとアプリの最初の体験 第2回「説明を増やす前に触れば分かる場面を」

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起動した直後に操作説明を並べたのに、実際の場面では何を押せばよいか分からなくなる。入力欄の説明を読んでも、設定を変えるとどんな結果になるのか想像できない。説明を書いたことと、その場で使えることの間には、まだ確かめる余地があります。

第1回では、最初に体験してほしい小さな達成と、そこまでの操作を書き出しました。今回は、その途中で何を、どんな順番で覚えてもらうかを考えます。目標は、一つの操作と結果を確かめられる、小さな練習場面を作ることです。

長い説明をすべて消す必要はありません。操作する場所の近くに必要な案内を置き、試した結果を見てから、次に使う知識へ進める案を考えます。

最初の達成に必要なことを、覚える順番に分ける

「移動、調べる、持ち物、会話、仕掛けの操作を説明する」と書くと、すべてを最初に教えたくなるかもしれません。まずは、今回の小さな達成までに必要なことを選びます。

例えば短編探索ゲームで、「メモを読んで扉を開ける」を最初の達成にするなら、机まで移動する、メモを調べる、読んだ内容と仕掛けを結び付ける、という順番が候補です。別の場所でしか使わない持ち物や会話の説明は、そこで必要になる時点へ回せるか考えます。

一つの操作を試す場面で、新しい判断までいくつも求めると、何に迷ったのかを見分けにくくなります。操作を知るための場面と、その操作を使って考える場面を書き分けてみましょう。

段階 短編ゲームで用意する場面の例 今回確かめたいこと
対象へ近づく 近くの机まで移動する 操作と、自分のキャラクターの動きを結び付けられるか
対象を調べる メモを調べ、内容を読む 調べられる物と、その操作が分かるか
覚えた操作で考える 読んだメモを手掛かりに仕掛けを動かす 操作を使い、手掛かりと結果を結び付けられるか

表は説明用の架空のゲームを想定した設計案です。一本道の練習をすべての作品に付ける提案ではありません。探索すること自体が遊びなら、どこまで案内すると楽しさを保てるかも考えます。

Baba Is Youでは、ルールを動かして結果を変えられる

『Baba Is You』は、ゲームのルールが操作できるブロックとして示され、それを動かすとゲームの仕組みが変わるパズルです。開発元のSteamページは、自分を岩に変えたり、目指すゴールを変えたりする例を説明しています。Baba Is Youの開発元による紹介

ここから自作へ応用するなら、「何かを変えたとき、どんな結果になるかを確かめられる場面」を考える手掛かりになります。言葉を読んで覚えることに加え、自分の操作と、起きた変化を見比べる設計です。

ただし、これは公式が紹介する仕組みから考えた応用案です。Baba Is Youの導入ステージを実機で調べ、教える順序の効果を測った記録ではありません。実際のゲームの問題や答えを、そのまま自作の導入へ置き換えるものでもありません。

一度の操作で、何が変わったかを確かめられるようにする

何かを押して画面が変わっても、同時にいくつも変化すると、どの操作が何につながったのか分かりにくい場合があります。小さな練習場面では、今試したことと、その結果の関係を追えるかを見ます。

短編ゲームなら、メモを調べたときは、調べる操作が受け付けられて内容を読めることを確かめる。次に仕掛けを動かしたときは、何が動き、どこへ進めるようになったかを伝える。操作の練習と、謎の答えを考える時間を分ける案です。

画像の幅をそろえるツールなら、幅を一つ変え、元の画像と出力予定の画像を見比べる場面が候補になります。以下も架空のツールの例です。

利用者が試すこと 画面で確かめられるようにすること 同時に増やさない説明の例
用意されたサンプル画像を選ぶ どの画像を加工するか 一括処理や保存先の細かな設定
出力幅を1200pxにする 入力した寸法と、縦横の変化 画像形式や圧縮率の違い
仕上がりを確認して保存する 保存する画像と寸法、保存できたこと 次の作業で使う高度な設定

サンプルは、最初の操作を試すための選択肢です。自分の画像をすぐ加工したい人もいるので、練習用の画像しか使えない流れにする必要はありません。サンプルで扱えることと、自分の画像を使うときの条件も伝えます。

また、縮小したプレビューの見た目だけでは、出力幅が1200pxになったかを判断できません。画像の表示と数値の両方を確かめられるようにします。1200pxは今回の架空例で使う値で、どの用途にも適した推奨寸法ではありません。

必要な説明は、操作する場面に残す

触って覚えてもらう設計でも、何を入力する欄なのか、単位は何かといった説明は必要です。「幅」とだけ書くよりも、「出力する画像の幅(px)」と示した方が、今回の操作の目的を伝えられるかを考えます。

W3Cの入力欄に関する解説は、利用者が何を入力すればよいか分かるラベルや説明を提供することを扱っています。必要な情報を伝えつつ、説明が多すぎても少なすぎても混乱につながるという考え方です。W3Cのラベル・説明に関する解説

自分のツールでも、項目名、入力例、注意点のうち、操作する前に知る必要があるものを整理してみてください。短い説明で判断できる内容と、詳しい案内を開いて確認する内容を分ける案があります。アクセシビリティの基準全体に適合しているかは、ほかの条件も含めた確認が必要です。

ゲームでの操作案内も、その環境で使える入力に合わせます。キーボード、コントローラー、タッチ操作で表示や案内が合うかを確認し、画面上の動きや色だけで意味が伝わると決め付けないようにします。

第1回で触れた文字や入力の調整、操作前に知る必要がある利用条件も残します。データ送信や上書きなど、結果を理解してから選ぶ必要がある操作を、練習のために黙って実行させないことも大切です。

案内をなぞれたことと、自分で選べたことを分けて見る

指示どおりに押して最後まで進めたとしても、何をしたか理解できたとは限りません。練習で案内したあと、同じ考え方を使う小さな場面で、次の操作を選べるかを確かめる案があります。

短編ゲームなら、調べる操作を一度試したあと、別の手掛かりを自分から調べるかを見る。画像ツールなら、練習で使った寸法とは別の目的を伝え、幅を指定して保存できるかを見る。これは自作の教え方を確かめるための提案で、Baba Is Youで実施された検証手順ではありません。

利用者に試してもらうときは、操作を教える場面と、教え方が伝わったかを確かめる場面を区別します。GOV.UKの利用者テストの資料も、課題は目的を明確にし、操作の答えを先に教えないようにすることを説明しています。GOV.UKの課題設計に関するガイド

例えば、「幅の欄を押して1200と入力し、保存ボタンを押してください」は操作案内として使えます。一方、教え方を確かめる場面では、「幅800pxの画像を一枚保存してください」と練習とは異なる寸法を伝え、どこで迷うかを見る方法があります。

確かめたいのは、自分が作った案内が相手に伝わるかです。相手が困っているのに、助けずに続けさせる必要はありません。案内した内容と、助けを出した場面を残し、最初から一人で進めた場合とは分けて考えます。具体的な観察の準備や記録方法は第5回で扱います。

今回は、小さな練習場面を一つ書く

第1回で決めた達成までの流れから、最初に覚えてもらう操作を一つ選び、次の欄を埋めてみてください。

書き出すこと 自分の作品についてのメモ
今回試してもらう操作 ____________
その操作で起こる変化と、確かめられる情報 ____________
操作前に必要な短い説明・ラベル ____________
この場面のあとで説明する内容 ____________
覚えた操作を、次に使う小さな場面 ____________
案内が伝わったか確かめたいこと ____________

一つの場面に説明が集まりすぎたら、操作と判断を順番に分けられるかを見直します。短編ゲームなら調べる練習のあとに手掛かりを使う場面を置く。画像ツールなら、まず一枚で結果を確認してから、一括処理の案内へ進む。必要な条件を残しながら、自作に合う順序を考えてみましょう。

第3回「失敗したら、もう一度試せる? やり直しの負担を減らす」では、試した結果が思った通りにならなかったときに、再挑戦や取り消しへ進めるかを考えます。

第1回:最初の体験を見直す/連載目次

教える場面の作り方を本で学びたい方へ

ゲームデザインや、利用者の体験(UX)を扱う本を探すときは、操作の習得、試した結果の伝え方、初めて使う人が迷う場所を扱っているかを目次で確認してみてください。具体的な画面や場面を使った説明があると、自分が作った練習場面と見比べる材料になります。

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事例と設計資料は2026年11月3日に公式情報で確認しました。実在ゲームの導入部分の実機プレイや、利用者の理解度・継続率の実測は行っていません。

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