実践ガイド

個人開発の「作る範囲」③:全部作る前に、面白さを確かめる試作品を作る

個人開発の作る範囲 第3回「試作品で確かめる」

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面白そうなアイデアを思いついても、実際に触る人がどう感じるかは、作る前には分かりません。画面や素材をすべて仕上げる前に、確かめたい場面だけを試作品にしてみましょう。

まず、何を知りたいかを決め、その答えに必要な範囲を作ります。試した結果によって、企画を続ける、変更する、別の疑問を確かめる、といった次の判断を選びます。

第1回では最初の完成形を決め、第2回では機能を選びました。今回は、残した機能や体験のうち、まだ確信が持てない部分を小さく試します。

「面白いか」を、確かめられる問いに変える

「このゲームは面白いか」だけでは、試したあとに何を変えるか決めにくいものです。どんな場面で、どんな反応を期待するのかを書き出します。

例えば、架空の探索ゲームでは「二つの手掛かりを比べて扉を開くとき、自分で気付けた手応えがあるか」。画像の幅をそろえる架空のツールなら「複数の画像を選び、幅を指定して保存する流れを、自分の目的に使えそうか」。どちらも説明用の例で、実際のテスト結果ではありません。

操作できたか、何を考えていたか、面白さや便利さを感じたかは別々に尋ねます。扉を開けられたことだけで楽しかったとは決められず、操作に迷った人が発想そのものを嫌ったとも限りません。

ゲームの試作品を、期限と問いで区切る

GDCの講演「How to Prototype a Game in Under 7 Days」の概要では、Experimental Gameplay Projectに参加した4人の大学院生が、各自でテーマに沿ったゲームを7日未満で作るルールを設けたことを紹介しています。概要には『Tower of Goo』などが、そのプロジェクトから生まれた作品として挙げられています。GDC講演概要

この事例は、試作に期限や条件を設ける考え方の参考になります。ただし、概要だけでは各作品で何をどう検証したかまでは分かりません。7日という期間も、経験・人数・目的の異なるすべての制作に合う基準ではありません。

自分の試作では、使える時間を先に決め、その時間で答えに近づける問いを選びます。時間が足りなければ、確認する場面や対象をさらに狭めることもできます。

問いに必要な部分だけを形にする

探索ゲームで手掛かりを比べる面白さを確かめたいなら、屋敷全体は必要でしょうか。一つの部屋、二つの手掛かり、扉の仕掛けを用意し、その場面を最初から試せる形にする案があります。仮の図形や短い文章でも、比較して考えるための情報は必要です。

画像ツールなら、テスト用の画像を使い、選択から保存結果の確認までを試します。実際の画像を扱う場合は、利用者の同意を得て、保存先や元ファイルの扱いを明確にし、上書きや漏えいを避けられる方法を用意します。安全に扱えない段階なら、架空の画像で画面案を試す選択もあります。

省いてよいものは問いによって変わります。謎の手順を確かめるなら仮の絵でも試せますが、光や音が生む緊張感が作品の中心なら、それらを省いた試作品では狙った体験を十分に判断できません。何を再現し、何がまだ判断できないかをメモしておきます。

期待と観察を分けて記録する

試す前に「何が見られたら次に進むか」と「どんな結果なら見直すか」を仮に決めます。数値の達成を必須にする必要はありません。例えば、次のように記録できます。

項目 探索ゲームの記入例
問い 二つの手掛かりを比べる場面に、考える楽しさを感じるか
試す範囲 一部屋、手掛かり二つ、仕掛け一つ
作り手の期待 手掛かりを見比べ、自分で答えを考えようとする
観察すること どこを調べたか、立ち止まった場所、試した操作
本人に聞くこと 何を手掛かりに考えたか、試していてどう感じたか
判断の目安 操作の迷いと謎そのものへの反応を分けて、次に直す箇所を選ぶ

「同じ手掛かりを二度調べた」は操作として観察できます。「難しくて楽しくなかった」は、本人に聞かないまま確定できません。答えを誘導せず、何を考えたかを聞き、記録と本人の言葉を分けて残します。

一人の反応は次の疑問を見つける手掛かりになりますが、対象者全体の評価や継続率を証明するものではありません。試した人数や状況も残し、必要なら別の人や修正後の場面で確かめます。初めて触る人の観察方法は、公開済みの最初の体験シリーズ第5回でも扱っています。

結果を次の一手に変える

試作の結果、次のような判断が考えられます。

  • 続ける:狙った反応を得られ、残る不明点を整理できた。次は完成形に必要な範囲へ広げる。
  • 変えて試す:手掛かりが見つからず、謎を考える段階に進めなかった。見せ方を変え、同じ問いをもう一度確かめる。
  • 問い直す:予定した時間で試す形にできなかった、または中心の体験が伝わらなかった。仕組みや試作方法を見直す。

これは自動的な合否判定ではありません。仮素材のせいで判断できなかった場合や、操作の問題が中心体験を覆い隠していた場合は、その条件を変えて再確認します。試作を作り込むこと自体が目的になっていないかも、期限の時点で振り返ります。

自分の試作で書き出すこと メモ
確かめたい問いと、対象となる人 ________
再現する場面と、省くもの ________
作る時間の目安と、試す方法 ________
期待する反応と、観察・質問すること ________
結果を受けて考える次の選択肢 ________
今回は判断できないこと ________

まずは問いを一つ選び、試作品を作る前に欄を埋めてみてください。第2回で後回しにした機能も、試した結果によって必要性が変わるかもしれません。第2回の判断メモに戻り、理由を更新できます。

試作やゲームデザインを本で学びたい方へ

企画やゲームデザインの本を選ぶときは、試作品の作り方、試す問いの立て方、遊んだ人の反応を調べる方法を扱っているか、目次で確認できます。

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リンク先は書籍の検索結果です。特定の本を推薦するものではありません。価格、刊行年、対象読者を確認し、自分の課題に合うものを選んでください。

事例は2026年11月4日にGDC講演の概要を確認しました。講演全編の視聴、作品の実機検証、試作の成果や売上の実測は行っていません。


前回:第2回 連載目次 次回:第4回

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