実践ガイド

個人開発の「作る範囲」②:その機能、本当に必要? 残すもの・後回しにするもの

個人開発の作る範囲 第2回「必要な機能を選ぶ」

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完成形は決めたものの、機能の候補が増えていく。どれも面白そうで、一つずつ「必要」と思えてしまう。そんなときは、各機能を今回届ける体験、利用に必要な条件、追加にかかる作業と照らしてみましょう。

第1回で決めた「誰が何をして、どこまで到達するか」を手元に置きます。今回は機能ごとに、今作る、小さく作る、後で検討する、のどれにするかを決めます。

機能が支える場面を具体的に書く

「あると便利」だけでは、優先順位を付けにくいものです。誰がどの場面で使い、何ができるようになるかを書きます。使えなかった場合に困ることも考えます。

第1回と同じ、架空の探索ゲームを例にします。完成形は「小さな屋敷を探索し、手掛かりを使って一つの謎を解き、結末を見る」。手掛かりを調べる操作がなければ、この体験は成立しません。ゲームを中断する人のための保存機能は、想定するプレイ時間や利用環境に照らし、必要かどうかを判断します。最初から複数の結末が必須かは、作品の狙い次第です。

画像の幅をそろえる架空のツールなら、変換と保存は中心となる操作です。保存時の上書き防止やエラーの案内も、データを安全に扱うために検討します。共有機能は便利でも、今回の利用目的に欠かせるかを確かめます。

小さく作る案と、失われるものを並べる

候補は「全部作る」「完全に外す」の二択ではありません。規模を小さくして、体験に必要な部分を残せる場合があります。

候補 小さく作る案 判断するときの注意
探索ゲームの複数の結末 今回は結末を一つ完成させる 選択の結果が変わることを約束している作品なら、その価値が失われる
中断・再開 決まった地点から再開できる方式を検討する 中断時に失う進行を伝え、対象の遊び方で負担を確認する
画像ツールの変換設定 今回必要な出力形式と幅指定に絞る 利用者の元画像を安全に扱い、非対応形式や失敗を伝える
画像の共有 保存したファイルを利用者自身が共有する 直接共有が相手の目的に必須なら、後回しにできない

表は判断例です。中断しやすさ、読みやすさ、入力方法などは人によって利用の前提になります。単に中心操作ではないという理由だけで削らず、対象者と環境に照らして確認します。

『Stardew Valley』の協力プレイ追加に見る、更新の負担

『Stardew Valley』では、協力プレイを含むPC向けの1.3アップデートが2018年に公開されました。開発者の発表は、公開前にベータテストを行い、見つかった不具合の修正を続けたこと、ネットワーク部分をTom Coxonが担当したことを説明しています。開発者による1.3公開のお知らせ

協力プレイの追加には、画面上の機能だけでなく、通信や複数人での動作確認も伴います。自作の候補を考える際にも、実装以外に必要なテストや対応を洗い出す参考になります。

ただし、この資料だけで、開発者が当初どの理由で協力プレイを後回しにしたか、追加によってどの程度売上が変わったかは分かりません。後から追加すれば必ず簡単になるという話でもありません。後から加える場合でも、データ形式や通信方式を変更する負担を事前に考える必要があります。

作業を「作る・試す・続ける」に分ける

一つの機能を追加する前に、実装に加え、周辺の作業も書き出します。時間は推測として記し、短い試作や過去の作業記録があれば見積もりを直します。

観点 探索ゲームに新しい謎を追加する例
作る 仕掛け、手掛かり、関連する文章や画像を用意する
試す 正解以外の操作、進行不能、既存の謎との順序を確認する
続ける 公開後の不具合報告を受け、修正と再確認に対応する

必要な時間が確保できないなら、謎の数を減らす、体験の設計を変える、予定を延ばすなどの選択があります。保存データや利用に必要な説明を削って帳尻を合わせる前に、公開の条件自体を見直しましょう。

候補ごとに、今の判断と見直す条件を残す

記入すること 自分の作品のメモ
機能の名前と、誰が使う場面 ________
ない場合に失われる体験・困ること ________
小さく作る案と、その場合の制約 ________
実装・確認・公開後の対応に必要な作業と、時間の目安 ________
今作る/小さく作る/後で検討する ________
判断の理由と、見直す条件 ________

「後で検討」は、実装を約束する言葉ではありません。例えば「最初の謎を最後まで遊べるようになったら、追加の謎に使える時間を見積もる」と記しておけば、再検討する時期が分かります。利用者に提供予定を伝える場合は、決定済みのことと検討中のことを分けましょう。

迷う機能を一つ選び、この欄を埋めてみてください。決めた範囲は、新たな事実が分かったときに見直せます。第1回の完成形と照らし、今回の体験が最初から最後まで成立するかも確認します。

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事例は2026年11月4日に開発者の公開情報を確認しました。実機プレイ、開発時の工数や売上の検証は行っていません。


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