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完成形は決めたものの、機能の候補が増えていく。どれも面白そうで、一つずつ「必要」と思えてしまう。そんなときは、各機能を今回届ける体験、利用に必要な条件、追加にかかる作業と照らしてみましょう。
第1回で決めた「誰が何をして、どこまで到達するか」を手元に置きます。今回は機能ごとに、今作る、小さく作る、後で検討する、のどれにするかを決めます。
機能が支える場面を具体的に書く
「あると便利」だけでは、優先順位を付けにくいものです。誰がどの場面で使い、何ができるようになるかを書きます。使えなかった場合に困ることも考えます。
第1回と同じ、架空の探索ゲームを例にします。完成形は「小さな屋敷を探索し、手掛かりを使って一つの謎を解き、結末を見る」。手掛かりを調べる操作がなければ、この体験は成立しません。ゲームを中断する人のための保存機能は、想定するプレイ時間や利用環境に照らし、必要かどうかを判断します。最初から複数の結末が必須かは、作品の狙い次第です。
画像の幅をそろえる架空のツールなら、変換と保存は中心となる操作です。保存時の上書き防止やエラーの案内も、データを安全に扱うために検討します。共有機能は便利でも、今回の利用目的に欠かせるかを確かめます。
小さく作る案と、失われるものを並べる
候補は「全部作る」「完全に外す」の二択ではありません。規模を小さくして、体験に必要な部分を残せる場合があります。
| 候補 | 小さく作る案 | 判断するときの注意 |
|---|---|---|
| 探索ゲームの複数の結末 | 今回は結末を一つ完成させる | 選択の結果が変わることを約束している作品なら、その価値が失われる |
| 中断・再開 | 決まった地点から再開できる方式を検討する | 中断時に失う進行を伝え、対象の遊び方で負担を確認する |
| 画像ツールの変換設定 | 今回必要な出力形式と幅指定に絞る | 利用者の元画像を安全に扱い、非対応形式や失敗を伝える |
| 画像の共有 | 保存したファイルを利用者自身が共有する | 直接共有が相手の目的に必須なら、後回しにできない |
表は判断例です。中断しやすさ、読みやすさ、入力方法などは人によって利用の前提になります。単に中心操作ではないという理由だけで削らず、対象者と環境に照らして確認します。
『Stardew Valley』の協力プレイ追加に見る、更新の負担
『Stardew Valley』では、協力プレイを含むPC向けの1.3アップデートが2018年に公開されました。開発者の発表は、公開前にベータテストを行い、見つかった不具合の修正を続けたこと、ネットワーク部分をTom Coxonが担当したことを説明しています。開発者による1.3公開のお知らせ
協力プレイの追加には、画面上の機能だけでなく、通信や複数人での動作確認も伴います。自作の候補を考える際にも、実装以外に必要なテストや対応を洗い出す参考になります。
ただし、この資料だけで、開発者が当初どの理由で協力プレイを後回しにしたか、追加によってどの程度売上が変わったかは分かりません。後から追加すれば必ず簡単になるという話でもありません。後から加える場合でも、データ形式や通信方式を変更する負担を事前に考える必要があります。
作業を「作る・試す・続ける」に分ける
一つの機能を追加する前に、実装に加え、周辺の作業も書き出します。時間は推測として記し、短い試作や過去の作業記録があれば見積もりを直します。
| 観点 | 探索ゲームに新しい謎を追加する例 |
|---|---|
| 作る | 仕掛け、手掛かり、関連する文章や画像を用意する |
| 試す | 正解以外の操作、進行不能、既存の謎との順序を確認する |
| 続ける | 公開後の不具合報告を受け、修正と再確認に対応する |
必要な時間が確保できないなら、謎の数を減らす、体験の設計を変える、予定を延ばすなどの選択があります。保存データや利用に必要な説明を削って帳尻を合わせる前に、公開の条件自体を見直しましょう。
候補ごとに、今の判断と見直す条件を残す
| 記入すること | 自分の作品のメモ |
|---|---|
| 機能の名前と、誰が使う場面 | ________ |
| ない場合に失われる体験・困ること | ________ |
| 小さく作る案と、その場合の制約 | ________ |
| 実装・確認・公開後の対応に必要な作業と、時間の目安 | ________ |
| 今作る/小さく作る/後で検討する | ________ |
| 判断の理由と、見直す条件 | ________ |
「後で検討」は、実装を約束する言葉ではありません。例えば「最初の謎を最後まで遊べるようになったら、追加の謎に使える時間を見積もる」と記しておけば、再検討する時期が分かります。利用者に提供予定を伝える場合は、決定済みのことと検討中のことを分けましょう。
迷う機能を一つ選び、この欄を埋めてみてください。決めた範囲は、新たな事実が分かったときに見直せます。第1回の完成形と照らし、今回の体験が最初から最後まで成立するかも確認します。
ゲーム制作の企画を本で学びたい方へ
企画や制作管理を扱う本では、対象とする作品の規模や、機能の優先順位をどのように考えるかを目次で確認できます。
リンク先は書籍の検索結果です。特定の本を推薦するものではありません。価格、刊行年、対象読者を確かめ、自分の課題に合うものを選んでください。
事例は2026年11月4日に開発者の公開情報を確認しました。実機プレイ、開発時の工数や売上の検証は行っていません。
