※本記事にはアフィリエイトリンク(広告)が含まれます。Amazonのアソシエイトとして、ゲームのタネは適格販売により収入を得ています。
ゲームを配布した。アプリをストアに出した。WebサービスのURLも告知した。それでも、使ってくれる人がなかなか増えない。
そんなときは、紹介を見かけてから実際に使い始めるまでをたどり、どこで止まっているのかを確かめるところから始めてみましょう。存在を知られていない場合と、興味を持ってページを開いたのに利用されない場合では、見直す場所が変わります。
この連載では、一人や小さなチームで作ったゲーム、アプリ、Webサービスを、使ってほしい人へ届ける方法を考えます。第1回では自分の作品の現状を整理し、次に試すことを一つ決めます。
公開できても、使いたい人が見つけられるとは限らない
公開した直後は、ダウンロード数や販売数が気になります。ただ、その数字だけでは、作品が知られていないのか、紹介が伝わっていないのか、試すまでに手間がかかっているのかは分かりません。
例えば、ゲームなどを公開できるitch.ioは、ページの公開と、検索・一覧への掲載を分けて説明しています。URLからページを開ける状態になっても、検索で見つけてもらえる状態とは限りません。掲載には条件があり、審査や処理に時間がかかる場合もあります。itch.io公式の説明
公開日と、多くの人に知られる時期が離れている作品もあります。『Among Us』は2018年に公開され、開発元の記録では2020年夏に世界的な人気を得ています。Innerslothの公式記録
もちろん、待っていれば同じように広まる、という意味ではありません。まず、自分の作品を見つける入口があるか、その入口から利用へ進めるかを調べる必要があります。
ここでいうマーケティングは、使ってほしい相手を考え、その人に合う価値を伝え、購入や利用へ進めるように整える活動です。告知文や広告に加えて、紹介ページ、価格、試しやすさも関わります。調べた結果、作品の内容や届ける相手を考え直すこともあります。
「届いていない」を、止まっている場所に分ける
使ってもらうまでの流れを、いったん次のように分けてみます。
| 段階 | 確かめたいこと | 見直す場所の例 |
|---|---|---|
| 存在を知る | 想定する相手に、作品の紹介を見かける機会があるか | 検索、ストア内の掲載、SNS、関連コミュニティ |
| 興味を持つ | どんな楽しさや便利さがあるのか伝わるか | 一文の説明、画像、動画、利用例 |
| 試す・購入する | 価格や条件を理解し、不安なく次へ進めるか | 紹介ページ、対応環境、料金、登録・ダウンロードの手順 |
| 良さを体験する | 最初に何をすればよいか分かるか | 操作案内、サンプル、初回の画面 |
| 利用後につながる | 作品の目的に合う、その後の接点があるか | 感想の窓口、必要な更新案内、次回作の情報 |
人が必ずこの順番で進むわけではありません。友人に勧められてすぐ購入することもあれば、何度か紹介を見てから試すこともあります。この表は、調べる場所を整理するためのものです。
例えば、紹介ページには人が来ているのに、ダウンロードされていないとします。この場合は、まずページを開き、対応OS、価格、ゲーム画面、入手方法が分かるかを確認します。告知を増やすだけでは、ページ内のつまずきが残ってしまいます。
反対に、ページへの訪問自体がほとんど確認できないなら、紹介する場所や相手を見直す手掛かりになります。ただし、記録が取れていない可能性もあるので、「数字がない」と「誰も来ていない」は区別します。
投稿の表示回数、紹介ページへの訪問数、購入数も、それぞれ別の数字です。Steam公式も、ストアページへの流入だけでストア内の露出が増えるわけではないと説明しています。訪問が販売につながる可能性と、訪問そのものの効果を分けて考えています。Steamworksの露出に関する説明
最初に届けたい相手と、目指す行動を一つ決める
ここからは、短編探索ゲームと、画像の幅をまとめてそろえるツールを例に考えます。どちらも説明用の架空の作品です。
「ゲームが好きな人に遊んでほしい」だけでは、紹介する場所も見せる画面も決めにくくなります。もう少し具体的に、「休日に、短い物語を一本遊び切りたい人へ届けたい」と考えてみます。その人が選ぶときには、雰囲気の分かる画面、操作の難しさ、遊ぶのに必要な時間などが判断材料になりそうです。実際の紹介には、自分で確認した内容を載せます。
画像ツールなら、「記事に載せる画像の幅を毎回一枚ずつ直している人」を考えられます。紹介では、処理する前と後や、まとめて操作する様子を見せる案が浮かびます。
次に、その人にどこまで進んでほしいかを一つ決めます。ゲームなら購入やダウンロード、ツールなら画像を一枚処理して結果を受け取ることなどです。「利用者を増やす」という目標を、確かめられる行動に置き換えます。
短編ゲームは、最後まで楽しんでもらえれば目的を果たすことがあります。毎日使うツールとは、利用後に期待することが違います。継続利用を求めるかどうかも、作品に合わせて決めて構いません。
紹介を見かけるところから、最初の体験までをたどる
自分の作品を知らない人のつもりで、実際の入口から利用まで進んでみます。いつもの管理画面や保存済みの直リンクから始めると、入口の不便を見落としやすくなります。
- 告知投稿や検索結果など、ユーザーが見かける場所から始める。
- 紹介を読み、誰向けで、何ができる作品かを確かめる。
- 紹介ページを開き、価格、対応環境、利用条件、実際の画面を探す。
- 購入・登録・ダウンロードなど、利用までに必要な操作をたどる。
- 起動後、最初に何をすれば楽しさや便利さを体験できるかを確かめる。
途中で迷った場所と、その理由を短くメモします。別の端末で試す場合も、まず自分の作品が対応している環境を選びます。
探索ゲームの配布ページが、作品名とZIPファイルへのリンクだけだったらどうでしょう。画面も対応OSも分からず、ダウンロードを迷う人がいるかもしれません。実際のゲーム画面と、確認済みの対応環境、展開・起動方法を加える案が考えられます。セキュリティ警告などが出る場合は、原因を調べ、配布方法を見直します。
画像ツールなら、開いた直後の画面を見ます。操作を始めるボタンが分かるか、何を入れると何が得られるかが伝わるか。説明を読むだけでは判断しにくければ、サンプル画像で試せるようにする案もあります。
自分では迷わない箇所も、初めて使う人には分からないことがあります。協力してもらえる相手がいれば、紹介から最初の利用までを試してもらい、迷った場所を教えてもらいます。すぐ説明したくなっても、まずどこで手が止まるかを観察すると、案内の足りない場所が見つかるかもしれません。
まず一箇所を直し、反応を確かめる
気になる点がいくつか見つかっても、最初は一つ選びます。一度に紹介文、画像、価格、告知先を変えると、何が反応に関わったのかを考えにくくなるためです。
選ぶ基準は、目指す行動の手前で止まっている場所です。ゲーム画面がないことを不安に感じたと言われたなら、実画面を追加する。ツールの操作開始場所で迷われたなら、案内を直す。確認したつまずきに対応する変更から試します。
変更日と変えた内容を残し、その後の訪問、ダウンロード、利用者の言葉など、確認できる反応を見ます。人数が少ない段階では、割合の小さな差から効果を決めつけず、「どこで迷ったか」「なぜ試さなかったか」という理由も手掛かりにします。前後の数字が変わっても、告知の量や時期など、別の条件が影響した可能性は残ります。
自分の作品について、次の欄を埋めてみてください。分からない項目は「未確認」と書き、次に調べることへ回せます。
| 書き出すこと | 自分の作品についてのメモ |
|---|---|
| 最初に届けたい相手と、その人が使う場面 | ____________ |
| その人が得られる楽しさ・便利さ | ____________ |
| 紹介を見かける入口 | ____________ |
| 今回目指す行動 | ____________ |
| 止まっていると思う場所と、その根拠 | ____________ |
| 今回変える一箇所、または先に確かめること | ____________ |
| 変更後に確認する反応と、見直す時期 | ____________ |
公開済みなら、まず告知のリンクを一つ開き、紹介から利用までをたどってみましょう。まだ公開前なら、紹介文や試作品を見てもらうところから始められます。「どこで止まっているか」が分かれば、次に手を付ける場所も選びやすくなります。
次回の第2回:ゲームはどうユーザーに届いた? 成功事例から学ぶ3つの方法では、『Unpacking』『Slay the Spire』『Shovel Knight』を取り上げ、ゲームがユーザーに届いた経緯を比べます。短い映像、配信、公開前の支援といった接点が、それぞれどの段階で役立ったのかを考えます。
マーケティングの基礎を本で整理したい方へ
「誰に届けるか」「どんな価値を伝えるか」を体系的に学びたい場合は、入門書を探す方法もあります。目次や試し読みで、顧客の理解、価値の伝え方、効果の確かめ方を扱っているか確認すると、この連載で考えたことを整理しやすくなります。
リンク先は書籍の検索結果です。目次や試し読み、刊行年、価格を確認し、目的に合う本を選んでください。
