エンジン比較

のんびり・生活・経営系は、Unityが14本中12本 — 工場系の代表作は別のエンジン

Steam高評価ののんびり・生活・経営系ゲーム20タイトルの使用エンジンを比較する記事のアイキャッチ

はじめに

のんびり遊べる生活系や、お店・街を育てる経営系は、長く遊ばれる作品が多いジャンルです。今回は、Steamのレビューを集計している第三者サイトSteam250(Steam公式ではありません)の、life_sim、management、resource_managementのタグのページに載った作品から候補を選びました。工場自動化系の代表作(Factorio、Satisfactory、Dyson Sphere Programなど)は、これまでの記事で扱ったため、この記事の20本には入っていません。下の「既出の関連作」で、各作品のエンジンだけ紹介します。

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選定方法

  • 2026年10月23日時点のSteam250の数値で、全言語のレビューが500件以上、好評率が93%以上
  • 開発したスタジオが個人〜中小規模の作品。発売元(パブリッシャー)が大手でも、開発したスタジオが小〜中規模なら対象です。開発元が大手や大規模スタジオ、大手企業の傘下のものは除外しました(DAVE THE DIVERなど)。Euro Truck Simulator 2のSCS Softwareは、公式サイトで従業員400人以上と公表しているため、小〜中規模の基準から外れる例外です。長期運営と自社エンジンの参考として含めました
  • これまでの記事で扱ったタイトルは除外(下の「既出の関連作」を参照)
  • 同じ開発者の続編や、別作品は除外(shapez 2、Mini Motorwaysなど)
  • エンジンの確認基準: Wikipedia、開発元の発言・開発元側のページ、または独立した複数の二次情報のうち、いずれかがあること。1件だけのまとめサイトや、記事のタグ表示だけのものは、確認とみなしませんでした

20本は、3つのタグのページから、筆者が選びました。life_simのページには、このほかにも基準を満たす作品があります(Crime Scene Cleaner、Wobbly Life、Mon Bazou、Volcano Princess、Supermarket Together、VPet-Simulatorなど)。これらは、調査の範囲を絞るために今回は対象にしませんでした。Stardew ValleyとMiSideは、これまでの記事で扱い済みです。

最初に20本の候補を挙げ、次の6本は上の基準を満たす資料が見つからなかったため、載せていません。

  • Recettear: An Item Shop’s Tale: Wikipediaに、エンジンの記載がありませんでした
  • The Farmer Was Replaced: 記事に「Unity」というタグがあるだけで、開発元の発言がありませんでした
  • Software Inc.、Dressmaker: ゲーム情報サイト1件だけの記載で、確認とみなしませんでした
  • Shelldiver、Digseum: 開発元の記事を読みましたが、エンジン名は書かれていませんでした

Wobbledogsは、レビューサイトindie-hiveと作品データベースPlayTrackerの2つにUnityと記載されています。開発元の発言ではないため、その点を踏まえて読みます。

用語のメモ

  • ゲームエンジン: ゲームを動かす土台になるソフト。画面表示、入力、当たり判定などをまとめて提供します。
  • 自社エンジン: 既製のエンジンを使わず、開発会社が自分たちで作ったエンジンです。
  • Unity: 2D・3Dのゲームを作れる、広く使われている汎用ゲームエンジンです。
  • GameMaker: 2Dゲームの制作に向いたエンジン。専用言語GMLやビジュアルツールを使えます。
  • Yarn Spinner: 会話や物語の部分を書くための道具で、Unityなどと組み合わせて使います。

結論

個人〜中小規模のスタジオによる作品を中心に、例外としてSCS Softwareの作品も含む、Steamで高評価ののんびり/生活・経営系20タイトルのうち、使用エンジンを本記事の基準で確認できたのは14本でした。

  • Unity: 12本(Slime Rancher、The Planet Crafter、Spiritfarer、Potion Craft、Unpacking、PlateUp!、Parkitect、Minami Lane、Rusty’s Retirement、Placid Plastic Duck Simulator、Tiny Bookshop、Wobbledogs)
  • 自社エンジン: 2本(Euro Truck Simulator 2、Fields of Mistria)

この14本の範囲では、Unityが約86%(12/14)です。ただし、残りの6本は「資料が存在しない」という意味ではなく、今回の確認基準を満たす資料を見つけられなかった作品です。確認できた作品だけで集計しているため、「このジャンル全体でUnityが86%」とは言えません。

Placid Plastic Duck SimulatorとTiny Bookshopは開発元側のページ、Euro Truck Simulator 2とFields of Mistriaは開発元公式の資料で確認できます。Wobbledogsは独立した2つの二次情報を根拠にしています。

14タイトルのエンジン一覧

タイトル 開発元(規模) 使用エンジン 主な根拠
Slime Rancher Monomi Park(米国のインディー) Unity Wikipedia(インフォボックス)
The Planet Crafter Miju Games(2人で始め、7人に) Unity Wikipedia
Spiritfarer Thunder Lotus Games Unity Wikipedia(インフォボックス)
Potion Craft niceplay games(ロシアの個人開発者が設立) Unity Wikipedia
Unpacking Witch Beam(オーストラリア・ブリスベン) Unity Wikipedia(インフォボックス)
PlateUp! It’s Happening(1人) Unity Wikipedia
Parkitect Texel Raptor Unity Wikipedia(インフォボックス)
Minami Lane 2人が中心、音楽などは協力者あり Unity Wikipedia
Rusty’s Retirement Mister Morris Games(Jordan Morris氏) Unity Wikipedia
Placid Plastic Duck Simulator turbolento games Unity 開発元のitch.ioページ(Made with: Unity)
Tiny Bookshop neoludic games(ドイツ・ケルンの小さなスタジオ) Unity Yarn Spinnerの導入事例ページ(開発元の発言)
Wobbledogs Animal Uprising Unity 二次情報2件(indie-hive、PlayTracker)
Euro Truck Simulator 2 SCS Software 自社エンジン「Prism3D」 SCS Software公式
Fields of Mistria NPC Studio(シカゴ) 自社エンジン「maybe」(GameMakerから移行) 開発元公式ブログ/公式SDK

注意: 作品ごとの開発規模は、資料に書かれていた範囲のみ載せています。リリース年の列は、Steam250の一部のページにしか年の表示がなく、全作品を同じ基準でそろえられなかったため付けていません。

既出の関連作と合わせると

このジャンルの高評価作のうち、次の8本は、これまでの記事で扱ったため、この記事の集計から外しています。参考までに、各作品のエンジンを並べます(「サバイバル編」「ストラテジー・シミュレーション編」より)。

タイトル エンジン 扱った記事
Factorio 自社エンジン(C++) サバイバル編
RimWorld Unity(1.7の不安定版ベータは自社エンジン「Waylith Engine」に移行済み) サバイバル編
Stardew Valley XNA → 2021年にMonoGameへ移行 サバイバル編
Satisfactory Unreal Engine サバイバル編
Oxygen Not Included Unity ストラテジー・シミュレーション編
Dyson Sphere Program Unity ストラテジー・シミュレーション編
Timberborn Unity ストラテジー・シミュレーション編
Against the Storm Unity ストラテジー・シミュレーション編

この8本を足した22本では、通常版/現行版ベースで数えると、Unityが17本(約77%)、自社エンジンが3本(Euro Truck Simulator 2、Fields of Mistria、Factorio)、MonoGameが1本、Unreal Engineが1本です。RimWorldは当時の通常版ではUnityですが、1.7の不安定版ベータは自社エンジン「Waylith Engine」に移行済みです。工場系の代表作のFactorioと、生活系の代表作のStardew ValleyはUnityではありません。

補足:

  • XNAは、かつてMicrosoftが提供していたC#向けの開発キット、MonoGameは、それと互換性のあるオープンソースの部品です。
  • 「不安定版ベータ」は、正式版の前に公開される試験版のことです。
  • 基準の違い: Oxygen Not IncludedのKleiは、2021年1月にTencentの子会社になっています(同社のWikipediaの項より)。本記事の「大手企業の傘下は除外」とは基準が異なりますが、これは、ONIの扱いを決めた時点(以前の記事)で、小〜中規模のスタジオとして扱っていたためです。
  • 関連する記事: サバイバル・クラフト編、ストラテジー・シミュレーション編。

Unity組(12本)

生活・クラフト系: Slime Rancher / The Planet Crafter / Spiritfarer

  • Slime Rancher: Monomi Parkの作品で、WikipediaのインフォボックスにUnityと記載されています。アーリーアクセスは2016年1月、正式版は2017年8月に出ました。
  • The Planet Crafter: Miju Gamesの作品で、Wikipediaに「Unityを使っている」とあります。2人のプロジェクトとして始まり、のちに7人のチームに広がりました。
  • Spiritfarer: Thunder Lotus Gamesの作品で、WikipediaのインフォボックスにUnityと記載されています。ディレクター、プログラマー、アーティスト、ライターなど、小〜中規模のチームです。

お店・経営系: Potion Craft / PlateUp! / Parkitect / Minami Lane / Tiny Bookshop / Rusty’s Retirement

  • Potion Craft: niceplay gamesの作品で、WikipediaにUnityと記載されています。ロシアのMikhail Chuprakov氏が設立したスタジオです。
  • PlateUp!: Wikipediaによると、1人のスタジオ(It’s Happening、Alastair Janse van Rensburg氏)の作品で、エンジンはUnityです。
  • Parkitect: Texel Raptorの作品で、WikipediaのインフォボックスにUnityと記載されています。2014年8月にKickstarterを開始し、約6.4万ドル以上を集め、その後2年間のアーリーアクセスを経ています。
  • Minami Lane: Wikipediaによると、約6か月でUnityで開発されました。Doot氏とBlibloop氏が中心となり、音楽などでZakku氏も参加しています。
  • Tiny Bookshop: ドイツのneoludic gamesの作品です。Yarn Spinnerの導入事例のページに「Powered by Yarn Spinner for Unity」とあり、開発元が「物語とカットシーンの土台にYarn Spinnerを使っている」と話しています。ページがエンジンそのものについて明言しているわけではなく、Unity用の道具の導入事例という形での確認です。
  • Rusty’s Retirement: Wikipediaに「Morrisは、Unityを使ってゲームを開発した」とあります。開発元のMister Morris Gamesは、Jordan Morris氏個人のブランドとされています。

そのほか: Unpacking / Placid Plastic Duck Simulator / Wobbledogs

  • Unpacking: オーストラリアのWitch Beamの作品で、WikipediaのインフォボックスにUnityと記載されています。
  • Placid Plastic Duck Simulator: turbolento gamesの作品です。開発元のitch.ioページの「Made with」欄に「Unity, Blender」とあります。Blenderは3Dモデルを作るソフトです。チームの人数は書かれていません。
  • Wobbledogs: Animal Uprisingの作品で、Wikipediaには「Tom Astle氏が作った」とあります(エンジンの記載はなし)。エンジンは、レビューサイトindie-hiveと、作品データベースPlayTrackerの2つが、Unityと記載しています。どちらも開発元の発言ではありません。

自社エンジン組(2本)

Euro Truck Simulator 2

チェコのSCS Softwareの作品で、SCS Software公式のTechnologyページでは、Euro Truck Simulator 2が自社開発のPrism3D Engineで動作していると説明されています。Prism3Dは同社が社内で開発・利用しているゲームエンジンです。同社の公式サイトは従業員400人以上と公表しています。これは現在の掲載人数であり、2012年発売時の制作チームの人数を示すものではありません。

Fields of Mistria

シカゴのNPC Studioの、最初のゲームです。開発元の公式ブログでは、2026年7月のv0.16.2で自社の内部ゲームエンジンへ移行したことが説明されています。さらに、NPC Studio公式GitHubのSDK資料では、そのエンジン名が「maybe」と記載されています。開発元のリードプログラマーJonathan Spira氏は、2026年9月のRustConf登壇概要で、開発時と実行時の両方でかなりの量のRustを使っているとも説明しています。なお、Steam250の集計には、移行前のGameMaker時代に投稿されたレビューも含まれます。

このジャンルから見えてくること

ここからは筆者の見解です。以下は、エンジンを確認できた14本と、既出の8本を合わせた22本の範囲での傾向です。

  • Unityが圧倒的に多い。 22本のうち17本がUnityです。のんびり系・経営系のように、3Dや2Dの見た目を問わず、画面の中身を自由に組めるジャンルで強いようです
  • 長く遊ばれる作品は、エンジンを変えることがある。 Stardew Valley(XNAからMonoGame)、Fields of Mistria(GameMakerから自社エンジン「maybe」)、RimWorld(Unity版を継続しつつ、1.7の不安定版ベータでは自社エンジンへ移行済み)など、発売後に土台を入れ替える例が複数あります
  • 自社エンジンは、長く運営する作品に見える。 Factorioのような工場系や、Euro Truck Simulator 2のような車の運転系では、長く開発を続ける前提で、自社エンジンを選んでいるようにも見えますが、これは筆者の推測です

実際に学び始めるなら

ここからは学習導線です。記事で紹介した作品と同じエンジンを自分でも触ってみたい場合、動画講座で画面を見ながら進める方法もあります。

  • Unityを学ぶ: 今回確認できた14作品のうち12作品で使われています。生活シミュレーション、経営、クラフト、街づくりなど幅広い作品で採用例があります。

UdemyでUnity講座を探す

  • Unreal Engineを学ぶ: 既出の関連作ではSatisfactoryがUnreal Engineを使っています。3D空間や大規模な見た目を重視する経営・工場系ゲームを作りたい場合の候補です。

UdemyでUnreal Engine講座を探す

※Euro Truck Simulator 2やFields of Mistriaのように、自社エンジンを使う例もありますが、初心者が最初から自作エンジンを選ぶ必要はありません。まずは既存のゲームエンジンで、遊びの核を小さく試す方が現実的です。

※リンク先の講座内容・価格・セール状況は変わる場合があります。受講前に最新情報をご確認ください。

個人開発者への示唆

ここからは筆者の見解です。お店や経営のゲームには、Unityを使った個人開発の例(PlateUp!、Rusty’s Retirement)や少人数による例(Minami Lane)があります。遊びの中身(客の動かし方、仕入れ、注文のさばき方)をどう組むかに時間をかける作品が多く、エンジンの選び方より、遊びの核を決めることが重要に見えます。


※使用エンジンは、Wikipedia、開発元公式ページ、開発元側の導入事例、独立した複数の二次情報などをもとにまとめています。Euro Truck Simulator 2とFields of Mistriaは開発元公式の資料、Placid Plastic Duck SimulatorとTiny Bookshopは開発元側のページ、Wobbledogsは独立した2つの二次情報を根拠にしています。載せていない6本は、本記事の確認基準を満たす資料が見つからなかったものです。Steamの評価とレビュー数は、2026年10月23日時点の、全言語を対象にしたSteam250の集計です。Steam250は第三者の集計サイトです。公開前に最新の情報をご確認ください。

参考資料

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