開発ニュース

【初心者OK】『カービィのエアライダー』を60fpsへ導いた描画最適化。SOL-AVES設計の要点とは

『カービィのエアライダー』の描画最適化を紹介する記事のアイキャッチ

※本記事にはアフィリエイトリンクが含まれています。

ゲームメーカーズの講演レポートによると、CEDEC2026でバンダイナムコスタジオが『カービィのエアライダー』の描画最適化事例を紹介しました。開発初期は720pで約15fpsだった状態から、1画面プレイ時に60fpsへ到達するまでに、内製エンジン「SOL-AVES」とゲーム実装の両面でどのような工夫が行われたのかが語られています。

描画最適化とは?

描画最適化とは、ゲーム画面の見た目を保ちながら、GPUやメモリへの負荷を減らして動作を軽くする取り組みです。SOL-AVESは、バンダイナムコスタジオがAAAタイトル向けに整備した内製ゲームエンジンで、描画の基盤機能や拡張性を備えています。

ニュース概要

講演では、ゲームとエンジンを並行して作る開発体制のもとで、負荷の大きい要素を頂点処理、ピクセル処理、テクスチャアクセスに分けて整理し、それぞれに対策を重ねた流れが示されました。超解像、VRS、DDGI、LOD、ASTCといった技術を組み合わせ、Switch 2向けの描画を成立させていった点が特徴です。

主な新機能・変更点

SOL-AVESでは、ゲーム側が抽象化された描画コマンドを出し、エンジン側で各プラットフォーム向けの描画APIに変換する仕組みを採用しています。これにより、描画順の整理やデータ設定をエンジン側でまとめて扱えるようにしました。 『エアライダー』では、当初720p・約15fpsだった状態から、1画面時60fpsを目標に最適化が進められました。ピクセル処理の負荷には、Nintendo SDKの超解像とVRS(可変レートシェーディング)が使われました。超解像は低い解像度で描いた映像を高解像度に補完する技術で、VRSは複数ピクセルのシェーディングをまとめ、色や質感を求める計算の頻度を下げる仕組みです。 ライティング面では、DDGI(動的な間接光表現)をそのまま毎回計算するのではなく、エディタ側で照明プローブの情報を事前計算する構成に変更。静的な地形では読み込み時に頂点へ参照結果を保持し、動くキャラクターは移動先に応じてプローブを参照する方式を用いました。さらに、密集するオブジェクトが多いシーンではMesh LODとHLODを使って遠景や小物の複雑さを抑え、デバッグ表示で過剰な頂点を洗い出したとされています。 テクスチャ面では、ASTCという圧縮形式を導入し、多くのテクスチャをASTC 8×8に変更しました。問題が出たものは元の形式に戻しました。単に解像度を下げるのではなく、画質とメモリ使用量のバランスを細かく詰めた点がポイントです。ゲーム側では動的解像度も採用し、高負荷時は即座に解像度を下げ、余裕が戻ると段階的に引き上げました。カメラが静止するポーズ画面では、画質を優先して最高描画解像度へ即座に戻したといいます。

このニュースから考えられること

✅ メリット

  • 60fpsの安定動作に近づけるための具体的な手順がわかる
  • エンジン側とゲーム側の最適化を分けて考える重要性が見える
  • 超解像、VRS、LODなど基本技術の役割を整理できる

⚠️ 課題

  • 低解像度化は画質低下につながるため、見た目との両立が必要
  • ASTCなどは実機確認が重要で、エディタ上だけでは判断しにくい
  • 本作のように高速で動く場面では、細かな画質差の見え方を踏まえて簡略化の範囲を判断する

学ぶならこの講座

描画負荷の見方やGPU最適化の基本を学びたい人は、まず動的解像度、LOD、テクスチャ圧縮の基礎を押さえるのがおすすめです。次に、実機での計測とデバッグ表示を使って、どの処理が重いのかを切り分ける練習をすると理解が深まります。

※本リンクはアフィリエイトリンクです。

ゲーム開発を学べる講座を見る

まとめ

『カービィのエアライダー』の最適化事例は、派手な新技術だけでなく、基本機能を地道に積み上げることが60fps達成につながると示した内容でした。描画の重さを分解し、エンジンとゲームの両側から改善した点は、初心者にも学びが多い講演です。

ソース

GameMakers

CEDEC Digital Library:SOL-AVESと『カービィのエアライダー』の講演概要

← 記事一覧・検索