エンジン比較

UnityとGameMakerで13本、残りは多彩 — Steam人気アクション/シューター16タイトルの使用エンジン

Steam人気アクション・シューター16作品の使用エンジンを比較する記事のアイキャッチ

はじめに

アクションやシューターは、操作の気持ちよさと反応の速さが命のジャンルです。大作の印象が強い一方で、Steamの高評価作品には、1人や数人で作られたものがたくさんあります。

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今回は、Steamのレビューを集計している第三者サイトSteam250(Steam公式ではありません)のタグ別ランキングから候補を選びました。

選定方法

  • Steam250のaction、shooter、action_roguelikeなどのタグのページから、筆者が候補18本を選びました
  • 2026年10月23日時点のSteam250の数値で、全言語のレビューが500件以上、好評率が93%以上(Skulはちょうど93%で、公開時には変わっている可能性があります)
  • 個人〜中小規模のスタジオの作品(大手パブリッシャーや大規模スタジオの作品は除外)
  • これまでの記事で扱ったタイトルは除外
  • 同じ開発者の続編は除外
  • 使用エンジンの資料が見つからなかったタイトルは除外

最初に挙げた18本のうち、Touhou Luna NightsとNova Driftの2本は、数値の基準は満たしていましたが、エンジンを示す資料が見つからなかったため外しました。残りの16本を扱います。

例外として、Sven Co-opは有志のチームによるHalf-LifeのMODで、「スタジオ」ではありません。ただし大手の作品ではなく、小規模なチームが続けている点を踏まえて、あえて含めました。

用語のメモ

  • ゲームエンジン: ゲームを動かす土台になるソフト。画面表示、入力、当たり判定などをまとめて提供します。
  • Unity: 2D・3Dのゲームを作れる、広く使われている汎用ゲームエンジンです。
  • GameMaker: 2Dゲームの制作に向いたエンジン。専用言語GMLやビジュアルツールを使えます。
  • Godot: 無料のオープンソースのゲームエンジンです。

結論

個人〜中小規模のスタジオが作った、Steamで高評価のアクション/シューター系16タイトルを調べたところ、使われていたエンジンは次の通りでした。

  • Unity: 7本(ULTRAKILL、Cuphead、Enter the Gungeon、Broforce、Skul: The Hero Slayer、Megabonk、BALL x PIT)
  • GameMaker: 6本(Hotline Miami、Katana ZERO、Pizza Tower、HoloCure、Nuclear Throne、Downwell)
  • Godot: 1本(Halls of Torment)
  • 既存エンジンの改造: 1本(Sven Co-op。ValveのGoldSrcエンジンを改造)
  • 自作エンジン: 1本(Devil Daggers)

筆者が選んだ16本の範囲では、Unityが4割台半ば(7/16)、GameMakerが4割弱(6/16)で、この2つで13本を占めました。これまで調べたジャンルとは異なり、今回はGameMakerの採用例も多く見つかりました。

なお、根拠の多くはWikipediaです。開発者本人の発言などで確認できたのは一部にとどまります(詳しくは表の「主な根拠」列をご覧ください)。

16タイトルのエンジン一覧

タイトル開発元(規模)使用エンジン主な根拠
ULTRAKILLHakita氏が中心(他にも参加者あり)UnitySteamDB、Wikipedia
CupheadStudio MDHRUnity(当初はXNA)Wikipedia
Enter the GungeonDodge RollUnitySteamDB、Wikipedia
BroforceFree LivesUnitySteamDB、Wikipedia
Skul: The Hero SlayerSouthPAW GamesUnityUnity公式の事例記事
MegabonkVedinad(個人開発)UnityWikipedia
BALL x PITKenny Sun氏が中心UnityWikipedia
Hotline MiamiDennaton Games(2人)GameMakerWikipedia
Katana ZEROAskiisoft(主に1人)GameMaker Studio 2Wikipedia
Pizza TowerTour De PizzaGameMakerWikipedia
HoloCureKay Yu氏(ほぼ個人)GameMaker作者公式itch.io、Wikipedia
Nuclear ThroneVlambeerGameMaker: StudioWikipedia
DownwellOjiro Fumoto氏(個人)GameMaker: Studio開発者インタビュー、Wikipedia
Halls of TormentChasing CarrotsGodot開発者発言、GodotFest
Sven Co-opSven Co-op Team(有志)GoldSrcの改造版Wikipedia
Devil DaggersSorath(豪メルボルンのインディー)自作エンジンSteamストア説明、GamingOnLinux、Giant Bomb

注意: Unity・GameMakerの本数は、ほとんどWikipediaの記載から数えています。インフォボックス(右側の概要欄)にエンジン名があるだけのものもあり、開発元の公式資料では確認していません。リリース年の列は、全作品について出典を確認できなかったため付けていません。

Unity組(7本)

ULTRAKILL / BALL x PIT / Megabonk

  • ULTRAKILL: フィンランドのHakita氏(Arsi Patala氏)が中心になって作った高速FPS(主人公の視点で戦うゲーム)。Wikipediaによると、Hakita氏のほかにもプログラマー、アーティスト、作曲家が参加していて、完全な1人開発ではありません。発売元(パブリッシャー)はNew Blood Interactiveです。
  • BALL x PIT: Kenny Sun氏が監督・設計・プログラムを担当しています。発売元はDevolver Digitalです。
  • Megabonk: Wikipediaは開発者をVedinad、「ソロ開発者」と書いています。開発と発売の両方を本人名義で行っています。

Cuphead — XNAからUnityへ

Studio MDHR公式によると、Cupheadは当初XNAで開発され、その後マルチプラットフォーム対応や2D・オーディオ機能などを理由にUnityへ移行しました。1930年代風のアニメーションは、すべて手描きで作られています。見た目と、ゲームを動かすエンジンは別の話で、手描きの絵でもUnityで動かせることが分かる例です。

Skul: The Hero Slayer

SouthPAW Gamesは、Unity公式の事例記事で「Unity 2Dを選んだ」と紹介されています。この記事には、プロジェクトのスタッフが「ゲームディレクター1人、プログラマー4人、背景アーティスト2人、キャラクターアーティスト1人」と書かれています。これはプロジェクトの人数であり、スタジオ全体の人数ではありません。

Enter the Gungeon / Broforce

  • Enter the Gungeon: Dodge Rollの作品。Wikipediaのインフォボックスに Unity と記載されています。Mythic Entertainmentの元社員4人がDodge Rollを設立した、とも書かれています。
  • Broforce: Free Livesの作品。Wikipediaのインフォボックスに Unity と記載されています。2012年のゲームジャム「Ludum Dare 23」への出展作(当時のタイトルはRambros)から始まったとされています。

GameMaker組(6本)

Hotline Miami

Dennaton Games(Jonatan Söderström氏とDennis Wedin氏の2人)の作品です。Wikipediaによると、GameMakerで9か月かけて開発されました。Söderström氏が2004年から作っていた未完成のトップダウンシューター(真上から見下ろす視点の射撃ゲーム)『Super Carnage』が出発点です。

Katana ZERO

Justin Stander氏(Askiisoft)が、ほぼ1人でGameMaker Studio 2を使って作りました。アートと音楽は協力者に任せています。

Pizza Tower

Wikipediaによると、デザイナーのMcPig氏は最初、ホラー要素のあるRPGを考えていて、RPG Makerなどを試しました。その後、ワリオランド(特に『ワリオランド4』)に影響を受けた横スクロールのアクションに方向転換しています。GameMakerで開発され、プログラマーのSertif氏が2020年初めに加わりました。

HoloCure

Kay Yu氏による、ホロライブのVTuberを題材にした非営利のファンゲームです。作者公式itch.ioには「Made with GameMaker」と明記されています。Kay Yu氏を中心に制作され、翻訳や音楽などにも協力者がいます。2022年6月にitch.ioで無料公開され、のちにSteamにも出ました。

Nuclear Throne

オランダのVlambeerの作品です。Wikipediaによると、開発は「Game Maker 7」で始まり、途中で「Game Maker Studio」に移りました。チームはこの移行を負担に感じたと書かれています。同じ製品でも、バージョンを変えると手間がかかる、という実例です。

Downwell

Ojiro Fumoto氏が1人で、デザイン、プログラム、アートを担当しました。本人インタビューでは、GameMaker: Studioでゲーム制作を始めたことを語っています。Wikipediaによると、「1週間に1本ゲームを作る」練習の13作目として生まれ、GIF画像をネットに投稿したことがきっかけでDevolver Digitalから声がかかっています。

Godot組 — Halls of Torment

Chasing Carrotsの開発者は、Halls of Tormentを同社初のGodot製商用ゲームとして紹介しています。GodotFestでも開発者がGodotでの技術実装について講演しており、小さなチームがGodotで高評価作品を作った例として根拠を確認できます。

既存エンジンの改造組 — Sven Co-op

Sven Co-opは、1999年1月に Half-Life の改造(MOD)として公開されました。Wikipediaによると、ValveのGoldSrcエンジンを大きく改造したものが使われていて、2016年にバージョン5.0としてSteamで単独のゲームとして配信されました。開発は有志のチームで、いまも開発者の空き時間に続けられているとされます。エンジンをゼロから作ったのではなく、既存のエンジンを土台にして育ててきた例です。

自作エンジン組 — Devil Daggers

Devil Daggersは、Sorathの作品です。SteamのストアページにはCustom built engine(自作エンジン)と書かれていて(Fanatical掲載の説明文)、GamingOnLinuxは「既製のゲームエンジンを使っていない」、Giant Bombは「Sorathがエンジンをゼロから作った」と書いています。資料が複数あり、アクション編の中では根拠がはっきりしている自作エンジンの例です。なお、Wikipediaにはエンジンの記載はありません。

このジャンルから見えてくること

ここからは筆者の見解です。以下は、筆者が選んだ16本の範囲での傾向です。

  • GameMakerが、2Dアクションで強い。 GameMakerの6本はすべて2Dの作品で、個人または2人〜少人数の開発が目立ちます(Hotline Miami、Katana ZERO、Pizza Tower、HoloCure、Nuclear Throne、Downwell)
  • Unityは3Dも2Dもこなす。 高速FPSのULTRAKILLから、手描きアニメのCuphead、2DのSkulまで、幅広い作品が並んでいます
  • 個人〜数人の作品が多い。 Downwell、Katana ZERO、HoloCure、Megabonkには中心となる個人開発者がいます。音楽や翻訳などに協力者が参加した例もあります

実際に学び始めるなら

ここからは学習導線です。記事で紹介した作品と同じエンジンを自分でも触ってみたい場合、動画講座で画面を見ながら進める方法もあります。

  • Unityを学ぶ: 今回の16作品では最多の7作品で使われています。2Dから3D、FPSまで幅広く使える汎用エンジンです。

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  • GameMakerを学ぶ: Hotline Miami、Katana ZERO、Pizza Tower、Downwellなど、今回の2Dアクションでは特に採用例が多く見つかりました。2Dゲームを小さく作り始めたい人の候補です。

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  • Godotを学ぶ: Halls of Tormentのように、インディーのアクションゲームでも採用例があります。無料・オープンソースで使えるエンジンです。

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個人開発者への示唆

ここからは筆者の見解です。アクションを作りたい初心者には、2DならGameMaker、3DならUnityが、実績の面で選びやすいと思います。Godotでの高評価例(Halls of Torment)もあるので、無料で始めたい人の候補になります。エンジン選びより、遊びの核(DownwellのガンブーツやPizza Towerの高速移動のような仕掛け)を先に決めた作品が多い、という印象もあります。


※使用エンジンは、主にWikipedia、Unity公式の事例記事、Devil Daggersについては複数の媒体をもとにまとめています。インフォボックスだけを根拠にした作品(Enter the Gungeon、Broforceなど)は、開発元の公式資料では確認していません。Steamの評価とレビュー数は、2026年10月23日時点の、全言語を対象にしたSteam250の集計です。Steam250は第三者の集計サイトです。公開前に最新の情報をご確認ください。

参考資料

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