※本記事にはアフィリエイトリンク(Udemy)が含まれます(PR)。
この記事は、Steamで高く評価されているゲームの「使用エンジン」をジャンル別に調べる企画の一つです。
はじめに
メトロイドヴァニアは、個人〜小規模チームのインディー開発者が数多く挑戦してきたジャンルです。広いマップを探索し、新しい能力を得ることで行ける場所が増えていく――そんな構造を持つ作品が多く、アクション、マップ管理、演出など、さまざまな仕組みを組み合わせて作られています。
そこで今回は、Steamで高い評価を得ているメトロイドヴァニア8作品を選び、どのゲームエンジンやフレームワークが使われているのかを調べました。
調べてみると、Unityが4作品、Unreal Engineが2作品、XNA/MonoGame系が2作品でした。2Dゲームでも、ひとつのエンジンだけが使われているわけではありません。
※ここでいう「フレームワーク」は、ゲーム制作に必要な基本機能をまとめた仕組みです。UnityやUnreal Engineのような統合型ゲームエンジンより機能が絞られており、必要なツールを自分で用意することもあります。
今回調べた8作品
Hollow Knight — Unity(開発元:Team Cherry)
Ori and the Blind Forest: Definitive Edition — Unity(開発元:Moon Studios)
Blasphemous — Unity(開発元:The Game Kitchen)
Blasphemous 2 — Unity(開発元:The Game Kitchen)
ENDER LILIES: Quietus of the Knights — Unreal Engine 4(開発元:Live Wire / Adglobe)
ENDER MAGNOLIA: Bloom in the Mist — Unreal Engine 5(開発元:Live Wire / Adglobe)
Salt and Sanctuary — XNA系(PS4版はMonoGame、Windows版でFNA使用を確認。その他の機種構成は未確認)(開発元:Ska Studios)
Axiom Verge — XNA → MonoGame / FNA(開発元:Thomas Happ Games)
内訳
Unity:4作品
Unreal Engine:2作品
XNA/MonoGame系:2作品
今回は作品単位で数えています。『Blasphemous』と『Blasphemous 2』、『ENDER LILIES』と『ENDER MAGNOLIA』は、それぞれ別作品として1本ずつ数えました。
選定条件とSteam評価について
今回は、Steamで「非常に好評」以上の評価を得ており、レビュー数が500件以上ある作品を選びました。
Steamの評価やレビュー数は日々変わります。また、表示言語や購入方法によって件数が変わります。この記事では、評価ラベルはSteamストアに表示される全期間の評価を確認し、レビュー数はレビュー欄のフィルターを「すべて」「すべての言語」「購入方法すべて」にしたときの件数で確認しました。
※8作品すべてについて、2026年10月23日に「非常に好評」以上・レビュー数500件以上であることを再確認しました。レビュー数は変動するため、本文では固定値を掲載していません。
Unityで作られた作品(4作品)
Hollow Knight
Team Cherryが開発した『Hollow Knight』はUnity製です。
Unity公式の事例紹介では、2D Physics、Sprite Packer、Particle SystemなどのUnity標準機能に加え、Asset Storeの「2D Toolkit」やビジュアルスクリプティングツール「Playmaker」を利用して開発したことが紹介されています。
続編『Hollow Knight: Silksong』もUnityで開発され、Unity公式はUnity 6でのリリース対応について紹介しています。
小規模なチームでも、既存のツールを組み合わせながら大規模な2D作品を作った例です。
Ori and the Blind Forest: Definitive Edition
Moon Studiosの『Ori and the Blind Forest: Definitive Edition』もUnityで作られています。
手描きのような美しいグラフィックが特徴ですが、専用の自社エンジンではなくUnityが使われています。Steamでは開発元がMoon Studios、販売元がXbox Game Studiosと表記されています。
大きな販売元が関わる作品でも、Unityが採用されている例です。
Blasphemous
スペインのThe Game Kitchenが開発した『Blasphemous』はUnity製です。
Team17は2019年、The Game Kitchenとの提携と、PC・PlayStation 4・Xbox One・Nintendo Switch向けに『Blasphemous』を展開することを公式に発表しています。
ピクセルアート主体の2D作品でもUnityが使われている例です。
Blasphemous 2
続編の『Blasphemous 2』もUnityで開発されています。Unity公式の「Made with Unity: 2023 in review」でも、The Game Kitchenの『Blasphemous 2』がUnity製のメトロイドヴァニアとして紹介されています。
同じシリーズで同じエンジンを使い続けることで、前作で得た開発ノウハウを引き継げる点も、エンジン選びを考えるうえで参考になります。
Unreal Engineで作られた作品(2作品)
ENDER LILIES: Quietus of the Knights
Live WireとAdglobeが開発した『ENDER LILIES: Quietus of the Knights』はUnreal Engine 4を使用しています。アドグローブ公式の開発実績ページでも、開発言語(開発環境)としてUnreal Engine 4が記載されています。
横スクロールの2DアクションRPGですが、Unreal Engineが採用されています。Unreal Engineは3Dゲームの印象が強いかもしれませんが、2Dを中心に見せる作品でも使われています。
ENDER MAGNOLIA: Bloom in the Mist
続編の『ENDER MAGNOLIA: Bloom in the Mist』ではUnreal Engine 5が使われています。共同開発元Live Wireの公式採用ページでは、『ENDER MAGNOLIA』の開発環境としてUnreal Engine 5、『ENDER LILIES』はUnreal Engine 4と明記されています。
開発は前作と同じくAdglobeとLive Wireが共同で担当しています。同じシリーズの中で、Unreal Engine 4から5へ世代を更新した例です。
XNA/MonoGame系で作られた作品(2作品)
Salt and Sanctuary
Ska Studiosの『Salt and Sanctuary』はXNA系の技術を用いた作品として紹介されています。開発元FAQは作者がMonoGameやFNAを使うと説明し、FNA作者の公開投稿には本作のWindows向けfna-win32ブランチの記載があります。全機種の構成は確認できていません。
Ska Studios公式FAQでは、James SilvaがMonoGameとFNAを使用し、アトラス作成、アニメーション、マップ制作などに必要な独自ツールも自分で作っていると説明されています。
公式FAQは開発者が両フレームワークを使うことを説明していますが、本作の機種別構成は明記していません。
UnityやUnreal Engineのような統合型のエディタに大きく頼るのではなく、必要な道具を自分で作りながら開発するスタイルの例です。
Axiom Verge
Thomas Happがほぼ一人で開発した『Axiom Verge』もXNA系の技術を使っています。
開発者本人の説明によると、開発開始時にはMicrosoftのXNAを使用していました。その後、PlayStation向けなどにはMonoGameが用いられました。FNA作者も同作を使用例に挙げていますが、機種や版ごとの構成は個別に確認が必要です。
そのため、単純に「MonoGame製」とするより、「XNAからMonoGame/FNAへ移行した作品」と説明する方が正確です。
参考例:Celesteはなぜ8作品に入れなかったのか
『Celeste』もXNA系の技術を使った有名な2Dゲームです。
開発側の公開情報では、ゲームコードはC#で書かれ、XNA、FNA、MonoGameなどの技術が使われています。また、独自フレームワーク「Monocle」も利用されています。
ただし、『Celeste』は一般には2Dプラットフォーマーとして紹介される作品で、今回の「メトロイドヴァニア8作品」という集計には含めませんでした。
XNA/MonoGame系で商用ゲームを作った参考例としては非常に興味深い作品です。
8作品から見えること
今回の8作品では、Unityが4作品で最多でした。
一方で、Unreal Engineを使った2D作品や、MonoGame/FNAのようなフレームワークを使った作品もあります。少なくとも今回選んだ作品を見る限り、「メトロイドヴァニアなら必ずこのエンジン」というひとつの答えがあるわけではありません。
実際にエンジンを触ってみたい方へ
この記事を読んで「UnityやGodotを実際に触ってみたい」と思った方は、動画講座で手を動かしながら学ぶ方法もあります。
Unityを動画で学びたい方: UdemyでUnity講座を見る
Godotを動画で学びたい方: UdemyでGodot講座を見る
Unreal Engineを動画で学びたい方: UdemyでUnreal Engine 5講座を見る
講座の内容・対象バージョン・価格は変わることがあります。購入前に最新情報を確認してください。
初心者はどう選べばいいか
ここからは筆者の見解です。
まずゲームを形にすることを重視するならUnity
今回の8作品では最多でした。2D向け機能やエディタがそろっており、完成作品の事例も豊富です。
Unreal Engineを使いたい理由が明確なら選択肢になる
ENDERシリーズのように、2Dを中心に見せるゲームでも採用例があります。
MonoGame/FNAは、プログラムを自分で組み立てたい人向け
自由度は高い一方、Unityのような統合エディタを前提としないため、自作ツールやプログラミングの負担が増えます。完全初心者が最初の1本を完成させるという目的なら、Unityなどの統合型エンジンの方が始めやすいと考えます。
エンジン名だけで選ぶのではなく、「自分がどこまでプログラムを書きたいか」「どんな制作ツールが必要か」「まず1本完成させたいのか」を考えると選びやすくなります。
まとめ
今回選んだメトロイドヴァニア8作品では、Unityが4作品で最多でした。
Unreal EngineはENDERシリーズ2作品で使われています。
Salt and SanctuaryとAxiom Vergeは、XNA系フレームワークに関連する作品です。機種ごとの技術構成は個別の資料で確認してください。
CelesteもXNA系技術の有名な採用例ですが、今回はメトロイドヴァニア8作品の集計から外しました。
(筆者の見解)完全初心者が最初のゲーム完成を目指すなら、エディタや学習情報がそろった統合型ゲームエンジンから検討するのが現実的です。
参考にした情報源
Hollow Knight – Made with Unity
Ori and the Blind Forest: Definitive Edition(Steam)
Unity Focus: Making Ori and the Blind Forest(MCV/DEVELOP)
Introducing Blasphemous(Team17)
Made with Unity: 2023 in review(Unity公式)
ENDER LILIES: Quietus of the Knights(Steam)
ENDER LILIES: Quietus of the Knights(アドグローブ公式)
ENDER MAGNOLIA: Bloom in the Mist(Adglobe)
ENDER MAGNOLIA: Bloom in the Mist(Steam)
Salt and Sanctuary Presskit(Ska Studios)
