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はじめに:ゲームは動くのに、音がひとつも鳴っていない
「GodotやUnityで、ジャンプもアイテム取得もできるようになった。でも遊んでみると、なんだか寂しい。効果音やBGMを自分で作ってみたいけれど、作曲ソフトを開いても何から触ればいいのか分からない。楽譜も読めないし、自分には無理なのかな」
小さなゲームが動き始めると、多くの人が「音」で手が止まります。無料の素材を使うのも立派な方法ですが、ボタンを押したときの「ピコン」や、タイトル画面の短いBGMを自分で作れると、ゲームが一気に「自分の作品」らしくなります。結論から言うと、最初の1冊は「短い効果音を1つずつ作る本」がおすすめです。効果音は1つが数秒で終わるので、作ってすぐゲームに入れて、変化を確かめられるからです。
この記事では、個人でゲームを作り始めた人が、自分のゲームのBGM・効果音を自分で作るための入門本を、選び方・買う順番・ゲームエンジンに入れるときの注意で選ぶ方法を解説します。
📌 この記事の前提
- BGMはバックグラウンドミュージック(ゲーム中に流れる曲)、効果音はボタンやジャンプなどの短い音のことです。SE(サウンドエフェクト)とも呼ばれます
- ゲームエンジンは Godot 4.7 または Unity 6.3 を使っている(これから使う人も含みます)
- 音を聴く道具は、まず手持ちのイヤホンで大丈夫です。聴き比べたくなったら自作の音を聴くヘッドホンの選び方も参考にしてください
- 本の価格は変わることがあります。本文では金額を書かないので、購入前に各店舗の商品ページで最新の表示をご確認ください
この記事で分かること
- ゲームの音作りで、入門本を1冊持っておくと楽になる理由
- ゲーム作り向けに音の本を選ぶときに見るポイント
- 買う順番:効果音 → BGMの土台 → 場面ごとのBGM → 効果音を深める
- おすすめの4冊と、どんな人に合うか
- 作った音をGodot/Unityに入れるときのファイル形式とループの設定
- 最初に買わなくていいもの、よくある質問
なぜ入門本を1冊持つと楽になるのか
音の作り方は、動画やSNSでもたくさん見つかります。ただ、動画は使っているソフトや機材が人によってばらばらで、初めての人は「自分の画面と違う」ところで止まってしまうことがあります。
本は、「どんな音を作るか決める → 音を作る → 長さや音量を整える → 書き出す」という流れを、順番どおりに見せてくれます。分からなくなったときに同じページへ戻れるので、自分のペースで1つずつ進められます。
ゲーム作り向けに音の本を選ぶポイント
| 見るところ | 理由 |
|---|---|
| 効果音の本か、BGM(作曲)の本か | 作り方がまったく違うからです。今いちばん欲しい方から選ぶと、すぐ自分のゲームに使えます |
| ゲームでよく使う音・曲の作例がある | 決定音や戦闘曲など、作例をそのまま自分のゲームの練習にできます |
| 音を聴いて確認できる | 文字だけでは音のイメージがつかみにくいからです。サンプル音やYouTubeの音源がある本は安心です |
| 最初から高い機材を前提にしていない | パソコンと手持ちのイヤホン、スマートフォンから始められると、すぐに手を動かせます |
買う順番:効果音 → BGMの土台 → 場面ごとのBGM → 効果音を深める
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- 1冊目で効果音を作る:決定音やキャンセル音など、ゲームに必ずある短い音から作ります
- 作った効果音をゲームに入れる:ボタンを押したら自分の音が鳴る、という体験をしておくと続きます
- 2冊目でBGMの土台:DAWの使い方と、短いループから1曲にする流れを覚えます
- 3冊目で場面ごとのBGM:街・戦闘・不思議な場所など、場面に合わせて曲を作り分けます
- 必要なら4冊目で効果音を深める:録音や編集まで含めて、狙った音を作れるようにします
一度に4冊そろえる必要はありません。BGMは無料素材、効果音だけ自作のように、半分だけ自分で作るのも良い始め方です。1冊やり切ってから、次の1冊を選びましょう。
おすすめの入門本4冊
| 本 | 学べること | 向いている人 | 買う順番 |
|---|---|---|---|
| サウンドエフェクトの作り方[改訂版](I/O BOOKS) | 効果音 | まず効果音から自作したい人 | 1冊目(効果音) |
| DTMがわからなすぎる!と思った時に読む本〜作曲“超”初心者のための1曲完成ガイド〜 | DAWの使い方・1曲完成 | BGMを作りたいけれど、DAWを触ったことがない人 | 2冊目(BGMの土台) |
| 場面に合わせた音楽の作曲テクニック:アニメ・ゲーム・日常のBGMからワールドミュージックまで | 場面別のBGM作曲 | タイトル・街・戦闘など、場面ごとに曲を作り分けたい人 | 3冊目(BGMの作り分け) |
| 効果音の作り方バイブル ― 考え方からしっかりわかる | 効果音の考え方・録音・編集 | 効果音を「なんとなく」でなく、狙って作りたい人 | 4冊目(効果音を深める) |
1. サウンドエフェクトの作り方[改訂版](I/O BOOKS)
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小川哲弘 著/工学社(2021年8月)/128ページ
ゲーム会社でサウンドデザイナーをしていた著者が、効果音の作り方を1つずつ見せてくれる本です。前半の「シンセサイザー編」では、メニューの決定音「ピコン!」やキャンセル音「シュルン!」、カーソル移動の「ピッ!」のような、どのゲームにも必要なシステム音を作ります。後半の「生音編」では、炎の音や空振りの音を、身近な物を録音して作ります。128ページと薄めなので、最初の1冊として最後まで読み切りやすいです。2015年版の本文は変更せず、コラム4本を追加し、モノクロ写真を調整した改訂版です。
👉 こんな人に:まず効果音から自作したい人
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2. DTMがわからなすぎる!と思った時に読む本〜作曲“超”初心者のための1曲完成ガイド〜
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サウンド&レコーディング・マガジンWEB 著/リットーミュージック(2025年8月)/128ページ
DTM(パソコンで音楽を作ること)を、知識ゼロから1曲完成させるまで案内する本です。音楽プロデューサーと初心者の会話を交えながら、「必要な機材をそろえる」「曲を作る」「ミックスして仕上げる」の3ステージで進みます。DAW(音楽を作るソフト)の基本、曲の“種”になるループ(くり返すフレーズ)の作り方、音量バランス、データへの書き出しまで入っています。ゲーム音楽専門の本ではありませんが、BGMを作る前にDAWの使い方と1曲の流れをつかむのに向いています。
👉 こんな人に:BGMを作りたいけれど、DAWを触ったことがない人
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3. 場面に合わせた音楽の作曲テクニック:アニメ・ゲーム・日常のBGMからワールドミュージックまで
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岡素世 編著/自由現代社(2025年8月)/112ページ
「場面」から曲を作る練習ができる本です。「手に汗握る戦い」「まだ見ぬ世界へ、果てなく続く冒険の旅」「時間がゆっくり流れるのどかな街」「宇宙、カオス、不思議空間」など、ゲームの画面を思い浮かべやすいお題が並びます。例題は楽譜で載っていて、音はYouTubeで聴いて確認できます。最後の章では、ピアノやブラスなど音色による印象の違いや、ゲーム系のデジタル・サウンドも解説しています。編著者は任天堂でサウンドコンポーザーをしていた作曲家です。2021年の『つくれるサントラ、BGM』を再編集・改訂した本です。
👉 こんな人に:タイトル・街・戦闘など、場面ごとに曲を作り分けたい人
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4. 効果音の作り方バイブル ― 考え方からしっかりわかる

小川哲弘 著/技術評論社(2023年3月)/296ページ
1冊目と同じ著者による、効果音の考え方から録音・編集までまとめた厚めの本です。第0章では、体験版のソフトを使って7つのステップで初めての効果音を作り、スマートフォンで風の音を作る方法も紹介しています。その後は、効果音の役割、音の分析、実験的な作り方、録音、編集(不要な音を消す、長さや音質を整える、バリエーションを作る)と進み、最後に足音・レーザーガンの発射音・爆発音などの制作例があります。サンプルファイルは出版社のサイトからダウンロードできます。
👉 こんな人に:効果音を「なんとなく」でなく、狙って作りたい人
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作った音をGodot/Unityに入れるときの注意
音ができたら、DAWから音のファイルとして書き出して、ゲームエンジンに入れます。ここで迷いやすいのがファイル形式とループ(くり返し再生)です。Godotのドキュメントでは、短くて何度も鳴る効果音はWAV、音楽や長い音はOgg Vorbis(ファイルが小さくなる形式です)をすすめています。
| エンジン | 鳴らし方 | BGMをくり返す・設定のコツ |
|---|---|---|
| Godot 4.7 | AudioStreamPlayer ノード(位置で聞こえ方を変えたいときは AudioStreamPlayer2D/3D)に音を入れて再生します | Ogg VorbisやMP3は、ファイルを選んでインポートドックの Loop をオンにし、再インポートします。WAVは「Edit > Loop Mode」で決めます。「Edit > Trim」は前後の小さな音を削る設定です。意図した余韻やループの間も変わる場合があるため、必要な場合だけ使い、再インポート後に音を確認します |
| Unity 6.3 | Audio Source コンポーネントに Audio Clip(音のファイル)を入れて再生します。.wav/.ogg/.mp3 などを読み込めます | BGMは Audio Source の Loop をオンにします。シーン開始と同時に流すなら Play On Awake もオンにします。インポート設定の Load Type は、短い効果音なら Decompress On Load、長いBGMなら Streaming が目安です |
もう1つのコツは、効果音の音量をDAW側である程度そろえておくことです。音ごとに大きさがばらばらだと、エンジン側で1つずつ直すことになります。ファイル名を「se_jump」「bgm_title」のように用途が分かる名前にしておくと、後から探すときも楽です。
最初に買わなくていいもの
- 有料のDAWや高価な音源ライブラリー:DAWの多くには無料版や体験版があります。『効果音の作り方バイブル』の第0章も体験版で始めています。まずは無料で触れるもので1曲・1音を完成させましょう
- MIDIキーボードやオーディオインターフェース:マウスで音を並べるだけでも曲は作れます。鍵盤で弾きたくなったり、マイクで本格的に録音したくなったりしてからで間に合います
- 録音用の高いマイク:効果音の素材は、スマートフォンの録音から試せます。声も入れたくなったら進捗クリップ用USBマイクの選び方をご覧ください
- 音楽理論の分厚い本を何冊も:読むだけで満足してしまいがちです。まずは短いループを1つ作って、ゲームで鳴らしてみましょう
よくある質問
Q. 楽譜が読めなくても大丈夫ですか?
A. 大丈夫です。DAWでは、ピアノロール(横が時間、縦が音の高さのマス目)に音を置いて曲を作れます。『場面に合わせた音楽の作曲テクニック』は例題が楽譜ですが、YouTubeで音を聴きながら、少しずつピアノロールに写していく使い方もできます。
Q. BGMは無料素材、効果音だけ自作でもいいですか?
A. もちろんです。効果音は短いので、自作の最初の一歩に向いています。素材を使うときは、配布サイトの利用規約(クレジット表記や商用利用の条件)を必ず確認してください。
Q. AIでBGMを作るのはどうですか?
A. 選択肢の1つです。ただ、サービスごとに商用利用や権利の条件が違います。くわしくはSuno AIでゲームBGMは作れるのか?で検証しています。自分で作る力があると、AIで作った曲を手直しするときにも役立ちます。
Q. 電子書籍でもいいですか?
A. 問題ありません。電子書籍版がある本もあるので、商品ページで形式を確認してください。サンプル音やダウンロードファイルの扱いは、本ごとの案内に従ってください。
まとめ
- 最初の1冊は、決定音などの短い効果音を1つずつ作る本がおすすめ
- 作った音はすぐ書き出して、Godot/Unityで鳴らしてみる
- 効果音はWAV、BGMはOgg Vorbisを目安に、容量や再生負荷に応じて選ぶ。BGMのループ設定も確認する
- BGMは「DAWの使い方と1曲完成」→「場面ごとの作り分け」の順で進める
- 機材や有料ソフトは、1冊やり切ってから考える
ボタンを押したときに、自分で作った「ピコン」が鳴る瞬間は、とてもうれしいものです。まずは決定音を1つ作って、自分のゲームに入れてみてください。
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参考
- Godot Engine ドキュメント「Importing audio samples」(Godot 4.7):https://docs.godotengine.org/en/stable/tutorials/assets_pipeline/importing_audio_samples.html
- Godot Engine ドキュメント「AudioStreamPlayer」:https://docs.godotengine.org/en/stable/classes/class_audiostreamplayer.html
- Unity マニュアル「Audio Source component reference」(Unity 6.3):https://docs.unity3d.com/6000.3/Documentation/Manual/AudioSource-reference.html
- Unity マニュアル「Audio Clip Import Settings reference」(Unity 6.3):https://docs.unity3d.com/6000.3/Documentation/Manual/class-AudioClip.html
- 技術評論社「効果音の作り方バイブル」:https://gihyo.jp/book/2023/978-4-297-13348-1
- リットーミュージック「DTMがわからなすぎる!と思った時に読む本」:https://www.rittor-music.co.jp/product/detail/3125364001/
- 著者による改訂内容の説明:OGAWA SOUND
- 紀伊國屋書店ウェブストア「サウンドエフェクトの作り方(改訂版)」(目次):https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784777521593
- 紀伊國屋書店ウェブストア「場面に合わせた音楽の作曲テクニック」(目次):https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784798227160
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