実践ガイド

初心者向けゲームジャンル別ガイド|どのジャンルから作り始めればいい?

はじめに:ジャンル選びがゲーム完成の鍵を握る

前回の記事では、個人ゲーム開発の企画を考えるうえで「ジャンル・プレイ時間・操作の単純さ」の3軸で絞り込むことをお伝えしました。

今回はその3軸のうち、最初の「ジャンル」にフォーカスして深掘りします。

なぜジャンル選びが重要なのか。それは、ジャンルによって必要な技術・作業量・学習コストがまったく異なるからです。同じ「初心者」でも、作る範囲や経験に合わない企画は、完成までに多くの作業が必要になる場合があります。ジャンルだけでなく、必要な機能や制作期間も合わせて考えましょう。

この記事では、初心者におすすめの5ジャンルをそれぞれ詳しく解説します。最後には「自分にはどれが向いているか」を判断できるフローチャートもご用意しました。ぜひ最後まで読んでみてください。


初心者に向くジャンル・向かないジャンルの違い

まず大前提として、初心者に向くジャンルと向かないジャンルの判断基準を整理しておきましょう。

初心者に向くジャンルの条件

  • ルールがシンプル:プレイヤーがすぐに理解できる
  • 実装する機能が少ない:必要なプログラムの量が少ない
  • 素材が最小限で済む:グラフィックや音素材をたくさん用意しなくていい
  • 学習素材が豊富:チュートリアルや参考記事が多い

作る範囲によって実装量が大きくなりやすいジャンル例

以下のジャンルも、盛り込む機能によっては作業範囲が大きくなります。最初は必要な要素を絞って考えましょう。

  • RPG:マップ、イベント、戦闘、セーブなど、追加する機能に応じて実装量が増える
  • オープンワールド:広い空間や移動、探索を実現する範囲に応じて設計・実装が増える
  • 対戦格闘:複雑な判定やコンボ、オンライン対戦などを含めると実装範囲が広がる
  • リアルタイムストラテジー(RTS):複数ユニットの操作や対戦AIを含めると設計範囲が広がる

これらのジャンルも、機能や制作範囲を絞れば試作できます。最初は小さく完成させることを優先しましょう。


ジャンル別解説①:パズルゲーム

どんなゲームか

決まったルールのなかで「考えて解く」体験を提供するジャンルです。落ちものパズル、スライドパズル、マッチパズルなど種類は豊富ですが、ルールを絞った作品もあります。

初心者におすすめの理由

  • グラフィックは図形や色だけでもゲームが成立する
  • ルールさえ決まれば、実装の見通しが立てやすい
  • 「ステージクリア型」にすれば、少ないコードで遊び応えが出せる

作るときのポイント

まず「ゲームの核となるルール」を1つだけ決めることが大切です。たとえば「同じ色を3つ並べると消える」「ブロックをゴールまで動かす」など、1文で説明できるルールが理想です。

ルールが複雑になりすぎると、デバッグ(不具合修正)の工数が膨大になります。最初は「シンプルすぎるくらいシンプル」を意識してください。

参考になるゲーム

  • 2048(数字を合わせるスライドパズル)
  • Threes!(数字のタイルを組み合わせるパズル)
  • unityroom掲載のパズル系作品

難易度目安

★☆☆(初心者向け)


ジャンル別解説②:クリッカー/放置ゲーム

どんなゲームか

クリックや時間経過でリソース(数字)が増え、それを使ってアップグレードを買い、さらに効率を上げていくジャンルです。「Cookie Clicker」が世界的に有名な代表例です。

初心者におすすめの理由

  • ゲームとして成立する最低限のコードが非常に少ない
  • アニメーションや複雑な当たり判定が不要
  • 「数字が増える気持ちよさ」だけで遊び応えが生まれる
  • HTMLとJavaScriptだけでも作れるため、ゲームエンジン不要で始められる

機能を絞れば、少ない実装から始めやすいジャンルです。「とにかく1本完成させたい」という方に最もおすすめです。

作るときのポイント

「何をクリックして、何が増えて、何を買えるか」の3点を最初に決めてしまいましょう。この設計が固まれば、あとはそれを実装するだけです。

アップグレードの種類を増やしすぎると管理が大変になるので、最初は3〜5種類に絞るのがコツです。

参考になるゲーム

  • Cookie Clicker(クリッカーの代表例)
  • Idle Miner Tycoon(放置系の定番)
  • ブラウザで遊べるクリッカー系同人ゲーム

難易度目安

★☆☆(初心者向け)


ジャンル別解説③:横スクロールアクション

どんなゲームか

左右に移動しながらジャンプや攻撃で進むジャンルです。スーパーマリオブラザーズが世界的な代表例で、「プラットフォーマー」とも呼ばれます。

初心者におすすめの理由

  • UnityやGodotには2Dゲーム制作のチュートリアルがある
  • 困ったときに検索すると解決策が見つかりやすい
  • 「動かす・ジャンプする・障害物を避ける」というゲームの基本要素がすべて学べる
  • キャラクターが動く達成感が早い段階で得られる

横スクロールアクションを扱う教材も見つけられます。「ゲームエンジンを使いながら学びたい」という方に特におすすめします。

作るときのポイント

最初は「左右移動・ジャンプ・ゴールに到達したらクリア」だけで1ステージ作ることを目標にしましょう。敵キャラクターやアイテムは「動くものができてから」追加する順番が失敗しにくいです。

また、キャラクターのグラフィックは最初は四角形や丸で十分です。見た目より動きの実装を優先してください。

参考になるゲーム

  • Celeste(インディーの名作プラットフォーマー)
  • unityroom掲載のアクション系作品

難易度目安

★★☆(中級寄り)


ジャンル別解説④:ノベルゲーム

どんなゲームか

テキスト・立ち絵・背景・BGMで物語を進めていくジャンルです。選択肢によってストーリーが分岐するものも多く、「読む」体験が中心です。

初心者におすすめの理由

  • プログラムをほぼ書かずに作れる専用ツールが存在する
  • 絵や音楽を外部素材(フリー素材)で補えば、ひとりでも完成できる
  • 「文章を書くのが得意」「世界観やキャラクターを作りたい」という人に最適
  • ゲームの「ルール設計」より「シナリオ設計」が中心になる

主な制作ツール

ツール名特徴
Tyrano Builderノーコードで作れるWindows・Mac向けツール。日本語対応
Ren’Py独自スクリプトを使い、Pythonでも拡張できる無料のノベルエンジン
RPGツクール(ADV機能)ノベル機能も搭載。日本では知名度が高い

作るときのポイント

シナリオの分岐を最初から作り込みすぎないことが大切です。まずは「一本道のストーリー」を1本完成させることを目標にしましょう。分岐は2作目以降の楽しみにとっておくのがおすすめです。

参考になるゲーム

  • itch.ioのビジュアルノベルカテゴリ
  • フリーゲーム投稿サイト「ふりーむ」掲載作品

難易度目安

★☆☆(初心者向け)


ジャンル別解説⑤:シューティングゲーム

どんなゲームか

自機を操作して敵や弾を避けながら、弾を撃って敵を倒すジャンルです。縦スクロール・横スクロール・固定画面など種類があります。

初心者におすすめの理由

  • 「弾を飛ばす・当たり判定を取る」というゲームの基礎技術が学べる
  • ゲームエンジン向けのサンプルや教材を探せる
  • ビジュアルは図形だけでも成立する(「弾幕STG」などは見た目の派手さが求められるが、シンプルSTGは不要)
  • ゲームループ(繰り返しの処理)の理解が深まる

「プログラムの基礎をゲームで学びたい」という方に特に向いています。

作るときのポイント

まず「自機の移動」「弾の発射」「敵の出現と動き」「当たり判定」の4つを1つずつ順番に実装していきましょう。一度に全部作ろうとするとどこでバグが出たか分からなくなります。

参考になるゲーム

難易度目安

★★☆(中級寄り)


結局どれを選べばいい?タイプ別おすすめフローチャート

5ジャンルを解説しましたが、「それでもどれにするか迷う」という方のために、タイプ別のおすすめをまとめます。

とにかく1本完成させたい → クリッカー/放置ゲーム 機能を絞れば、比較的少ない実装から完成を目指せます。

ゲームエンジンを使って学びたい → 横スクロールアクション チュートリアルが豊富で、躓いたときに情報を探しやすいです。

文章・世界観づくりが得意 → ノベルゲーム プログラムの比重が低く、強みを活かしやすいジャンルです。

論理的に考えるのが好き → パズルゲーム ルール設計さえ決まれば、実装の見通しが立てやすいです。

プログラムの基礎を身につけたい → シューティングゲーム 当たり判定・ループ処理など、ゲーム開発の基礎技術が一通り学べます。


まとめ

今回お伝えしたポイントをおさらいします。

  • 初心者に向くジャンルの条件は「シンプル・実装量少・素材少・学習素材豊富」
  • RPGやオープンワールドも、機能と制作範囲を絞って試作できる
  • クリッカーとノベルは、作る範囲を絞れば取り組みやすい
  • 横スクロールアクションは学習素材が豊富で成長を実感しやすい
  • パズルは「ルール1つ」に絞るのが完成への近道
  • シューティングはゲーム開発の基礎技術が身につく

次回は「参考ゲームの正しい分析方法」について解説します。好きなゲームの仕組みを分析し、自分の企画に活かす方法を紹介します。お楽しみに!


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